エルピスの考察まとめ!真相・犯人を真面目に予想

ドラマ好きが今期1番注目している『エルピス』は
路上キス写真によって人気が落ちてしまった女子アナ:浅川恵那とバラエティ番組の若手ディレクター:岸本拓朗が
死刑が確定している連続殺人犯の冤罪疑惑を追っていくドラマです。

傷みやゆがみ、破綻などのいわばバグやノイズのなかに埋もれた”自分の価値”をもう一度見つめ直す社会派ドラマ
長澤まさみ、前田郷敦、鈴木亮平が時にコミカルに時にシニカルに演じる
『エルピス』の考察をまとめてみました。

『エルピス』が追いかける事件の真相や連続殺人の真犯人を真面目に考察していきながら
『エルピス』が描きたかった真相を見つけに行きましょう。
[st-kaiwa1]演技力の高い俳優陣の見ごたえあるテーマをじっくりと深く考察するで~[/st-kaiwa1]

エルピスの考察

『エルピスー希望、あるいは災いー』は実在の複数の事件から着想を得て制作されたドラマです。
『エルピス』のストーリーはフィクションでありながらノン・フィクションであり、もしかしたら実際に同じことが起きていたかもしれないし、この先起きるかもしれません

冤罪事件を通して人間の内面や正義、報道、政治の本質までもアプローチしていく『エルピス』を考察してみたいと思います。

1話考察・真相予想と感想

■1話あらすじ
浅川恵那は大洋テレビのアナウンサー。抜群のルックスと好感度の高さからニュース番組のサブキャサターをつとめていたが
週刊誌に路上キス写真を掲載され降板。
今は深夜のバラエティ番組「フライデーボンボン」のコーナーMCを担当している。
そんなある日、番組で芸能ニュースを担当している新米ディレクターの岸本拓朗に呼び止められた恵那は
連続殺人事件の死刑囚が実は冤罪かもしれないと相談される。
https://youtu.be/3s_n2gza79A

僕は凡人だと思っていない

母は年収1億を稼ぐ弁護士であり裕福な家庭で育ったエリートの岸本拓朗。
父を9歳の時に亡くし母親からベタ褒めされて生きてきた拓朗は自己評価が高く、能天気でマイペース。
ディレクターとしての仕事はイマイチで怒られていても相手の機嫌が悪いからだと思って過ごしているイマドキの青年です。

フライデーボンボンのボンボンガールの女の子を口説いているのをメイクの大山さくらことチェリーに知られてしまい
死刑囚の松本が冤罪であることを調査するよう脅されて、浅川恵那に助けを求めます。

浅川恵那という人間

「なんで流すんですか?村井さんのセクハラとモラハラとパワハラですよ。むしろ怒ってくださいよ。
それが浅川さんみたいな人のポジションの責任じゃないですか」
何を言われても言い返さない、事が過ぎるのを待つ浅川恵那。
実は眠れない、食事も受けつけないほど心と身体のバランスを崩していました。

インタビュー取材に遅れた時もディレクターの村井に「なんだ更年期か?お前なんか若くも可愛くもないんだからな、ババアはババアらしくきっちり自己管理しろよ」と言われても口答えしない恵那。
聞き流しているように見えても少しずつ少しずつ積み重なっていく言葉たち。

自分の気持ちを飲み込んで流し込んでいるうちに恵那の身体は限界だと悲鳴を上げる寸前のようです。

誰も自分たちが報道したことの責任なんて振り返りたくないんだよ」

拓朗は八頭尾山冤罪事件の資料を持って恵那から紹介された報道記者:滝川の元を訪ねます。
ですがあっさりと「ごめん、時間ない」と言われ資料をつきかえされる始末。
「だってもし冤罪だったとしても最高裁で死刑決まっちゃってるんでしょう?そんなのどうしようもないし」と滝川に軽く言われてしまいます。

拓朗は恵那に報告の電話をすると「だろうね、誰も自分たちが報道したことの責任なんて振り返りたくないんだよ。だから報道ってみんな必要以上に忙しい忙しいって時間ないふりして」と話します。

その夜恵那は自宅で八頭尾山の事件を検索すると
犯人の松本被告に死刑判決が出た速報を読み上げる自分の映像がありました。
そして弁護側は無罪を主張し控訴すると原稿を読む自分の姿に「全然覚えてない…」とつぶやきました。

恵那は自分が言った『報道したことの責任』の言葉を自分自身に問いかけたのでしょうか。

路上キス写真は撮られたのではなく撮らせたのか?

拓朗は冤罪事件の話を聞いてもらおうと斎藤と恵那、拓朗の3人で食事をする約束を交わしましたが
斎藤から浅川恵那の路上キス写真の相手が自分だと言われ動揺します。

恵那がニュース8のサブキャスターから降ろされるきっかけとなったのは恋人との路上キス写真でした。
相手の男性の顔には目元を隠す線がありましたが恵那の顔ははっきりと見える写真でした。
遮るものなく綺麗に全身が写ったこのキス写真に違和感を感じたのは私だけでしょうか。

浅川恵那は人気が下降し報道から外され「落ちぶれた」と後ろ指をさされながらもアナウンサーという職業にいる。
しかしながら恵那の相手である斎藤正一は異例の大抜擢と社内で言われるほどの大躍進で
今は官邸キャップとして政権中枢の要人とも懇意の間柄である。
同じ写真を撮られた人物とは思えないほど現在の状況には大きな違いがある恵那と斎藤ですが
単にそれは”男女の違いによるもの”なのでしょうか。
スキャンダルは男性と女性では何が違うのでしょうか。

「闇にあるもんってのはな、それ相応の理由があってそこにあるんだよ」

再審請求されているのなら『連続殺人事件と冤罪事件の調査報道』として特集を組んで世論に投げかけるしかないという斎藤の助言に従い
拓朗と恵那は自分たちの番組「フライデーボンボン」の特集企画を持ち掛けます。
ですが案の定チーフプロデューサーの村井は「馬鹿か?」ととりあってくれません。

恵那は「誰かがやらないと闇に葬られてしまいます」と食い下がりますが
村井も「じゃあ闇ってなんだ?その奥に何がいる?」と言います。
「いいんだよ!闇にあるもんってのはな、それ相応の理由があってそこにあるんだよ!お前らみたいなもんがおもちゃみたいな正義感で手出していいようなもんじゃねえんだよ!」と怒鳴ります。
村井が報道から飛ばされた理由は何だったのでしょうか

拓朗が過去に見たもうひとつの手のひらとは?

冤罪事件の企画は通らず、恵那からは「やるから、このネタ」と言われても拓朗は怖気づいてしまいました。
メイクのチェリーは拓朗に隠していた左手の傷を見せ、松本死刑囚が逮捕されるきっかけとなった家出少女は自分だったと話します。

チェリーの話を聞きながら泣き出してしまった拓朗。

完璧な拓朗の完璧な人生のその全てが偽物だと告げる
拓朗が過去に見たもうひとつの手のひらとは
いったい誰のものなのでしょうか?
なぜ手のひらは傷だらけだったのでしょうか?
僕は善人じゃないという拓朗の心の中にも蓋をして閉じ込めた気持ちがあるのでしょうか?

2話考察・真相予想と感想

行方不明となっていた中学2年生の少女の遺体が八頭尾山で発見された。
この事件は拓朗が言ったように「真犯人は野放しになっている」から起きた事件なのか
それとも12年前の連続殺人事件の模倣犯なのだろうか。

拓朗が冤罪事件を調べ始めたきっかけはそもそも自分の保身のためメイクのチェリーに脅されたからだった。
プロデューサーの村井の言葉に怖気づいた拓朗だったが
恵那はこの事件を追うと決め、独自に調査をしつつ番組でも取り上げてもらうよう声をあげる。

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フライデーボンボンとは

フライデーボンボンのなかで恵那がコーナーMCを担当する「エナーズアイ」
このコーナーで女子中学生事件を取り上げてもらおうと奮闘する恵那ですが会議では誰の賛同も得られません。
番組チーフプロデューサーの村井からは
「浅川恵那が何に注目してるか決めるのは浅川恵那じゃねぇの。
浅川恵那は俺らが浅川恵那が注目してることにしたいニュースをあたかもほんとに注目してるみたいに読むためのもの、
それが嫌なら辞めちまえ女子アナなんか!」と一喝されてしまいます。

「嫌ですけど辞めません」と言う恵那。
村井の更年期発言にも「セクハラなのでやめてください」と言い、今までとは明らかに違う
”飲み込めないものは飲み込まない”と決めた恵那です。

村井だけでなく他のプロデューサーたちもフライデーボンボンでこの事件を扱うのは「重すぎる」「責任とれるのか」と言います。

もともと「フライデーボンボン」という番組は落ちこぼれの受け皿であり
不倫で飛ばされたスポーツ局ディレクターや報道で邪魔者扱いされたプロデューサー、
スキャンダルで降板した女子アナや学歴だけで入社したボンクラ新人が、才能なくてもがんばらなくても生きていける場所
それが「フライデーボンボン」だと言われています。

10年続いているし安定しているという番組内の雰囲気に
”安定と言うよりそれはただ堕ちきったまま浮上できないだけ”
と立ち向かう恵那の姿勢はここで働く人々にどのように見えているのでしょうか。

誕生日を祝ってくれた同じ日におじさんが他の女の子を殺してたなんてありえないと思うんですよ

メイクのチェリーに「冤罪事件を追っていこうと思っている」と恵那は打ち明けると
チェリーは事件のあった日(2006年11月18日)のことを恵那に話します。

11月18日はチェリーの14歳の誕生日でした。
家出少女だったチェリーがゲームセンターから帰ってきたら家にカレーができていて
机の上にはリボンがかけられたケーキの箱がありました。

ケーキを見つめるチェリーの様子に微笑むおじさん。
「たんじょうび おめでとう」と言ってくれたおじさん。
チェリーが生まれて初めて食べた誕生日ケーキはおじさんが買ってきてくれたものでした。

おじさんには自分が知らない顔があるかもしれないと思いながらもチェリーは
「私の誕生日を祝ってくれた同じ日におじさんが他の女の子を殺してたなんてありえないと思うんですよ」と涙ながらに恵那に訴えます。

自分がおじさんの家にいたことがいけなかったと悔やむチェリー。
チェリーの言葉を聞いて恵那は何を感じたのでしょうか。

松本死刑囚は普通のおっちゃん

八頭尾山殺人事件の控訴審から担当している木村弁護士に会いに行った恵那は松本氏がどんな人物なのか木村に尋ねます。

「普通のおっちゃんですよ。検察が言うような変質的な性的異常者でもなく残虐性など微塵も感じられない、
気が抜けるほどまともでちょっと気の小さい中年男です」
そして木村弁護士は松本氏は無実だと言い
マスコミがばらまいた「ロリコンだ」というインチキな報道にあおられた警察による自白の強要による冤罪だと話します。

「大きな権力と言うのはそれはそれは簡単に自分たちの都合で弱いもんを踏み潰すもんです。
決まって選ばれるのはつぶした時にあんまり大きな音を出しそうにないものたちです」

『社会的な力を持たず家族も無く叫んだとしても声が小さい』
松本氏は検察にとって好都合だったと木村弁護士は話します。

そして死刑囚の死刑はいつ実行されるか順番も決まってない
刑の執行は当日の朝突然知らされる
死刑囚にとって朝は恐怖でしかない

それが今の日本であることに間違いはないのです。

覚悟はないけど手伝いたい

冤罪事件を追う恵那の様子が気になる拓朗は
「もう一回やってみようかな。お手伝いくらいならできるかも」と言い出します。
恵那に「国家権力を敵に回すかもしれない、その覚悟はあるの?」と聞かれ
「いや、ないです」という拓朗。
恵那は困惑しますが拓朗は「国家権力と戦っても勝てる気しないっす。
でも浅川さんが戦うってのならそれはお手伝いしたいかなって・・・」

父のようになりたいと思う拓朗と
父のようにならないでと願う母の言葉に違和感を感じる拓朗

国家権力に立ちむかう覚悟はないけど恵那のことを手伝いたいという拓朗は
恵那の力強いパートナーになっていけるのでしょうか
土壇場で恵那を裏切ったりしないでしょうか

なかったことにされた目撃証言

斎藤は当時の取材ノートから警察は当初
「若いロン毛の男と被害者が歩いているのを見た」という目撃証言をもとに捜査を開始していたと教えてくれました。
そして途中で松本をあげるという方針に変わり、この証言がなかったことになったのだと言います。

松本氏とは全く別の犯人像に恵那は「この男が真犯人…」と言い斎藤も「その可能性がある」と話します。

恵那の元に届いた松本氏からの手紙には
警察の辛い取り調べから逃れるため「許してください」と言った言葉が『自白』であるとされてしまった
自分は何もしていないと書かれていました。

恵那はこの目撃証言のVTRを木村弁護士に見せ「この男を真犯人だと証明できれば松本さんは釈放されますか?」と聞くと
「そりゃ逆転無罪ですよ!」と言いました。

この情報に明るい兆しを感じた恵那ですが数日後テレビでは「死刑囚3人の死刑を執行」の速報が流れます。
松本氏の無実を証明し冤罪を晴らして釈放するのが先か
死刑の執行が行われてしまうのが先かは誰にもわかりません。

本当のことを言ってる声

検察側の証言を検証するため10分でカレーができるか確かめた恵那と拓朗。
案の定ジャガイモもにんじんも硬くて美味しくありません。

拓朗は次第に調子にのって「案外こういう仕事向いてるんじゃないか、
正義のために行動するってめっちゃ気持ちいいっすよね」などと言い出します。

恵那は「君ってさ、良いこと言えば言うほど嘘っぽいよね。
口先だけでしか声出してないでしょ?」と拓朗に話します。

「人が嘘ついてる時の声と本当のことを言ってる声は変わるんだよ。
だから私たちはまず発生の練習をするの」

拓朗は面白がっていい声を出す練習をしますが恵那は言いました。
「君はそんな小手先のテクなんてマスターしなくていいんだよ。
普通に正しく生きてればいいの。いい人間になれば勝手にいい声になるんだよ」
恵那の言葉に一瞬曇る拓朗の表情。
能天気で何も考えていないようにみえる拓朗にもいろいろあるようです。

拓朗が飲み込んでいるもの

その夜、拓朗は夢にうなされていました。
傷だらけの手が自分の方に差し出されている夢。
「やめて」と叫ぶ男の子の手のひらに鉛筆を刺す人々。
傷だらけの手を見てうつむく男の子。
おどらくその子の遺影を持つ人。

子どもの頃の拓朗に言えなかった何かがある
拓朗の能天気さは自分を守る鎧なのかもしれません。

3話考察・真相予想と感想

死刑囚の刑の執行はいつ行われるかわからない、それはもしかしたら明日かもしれない。
恵那は松本良夫死刑囚の冤罪を証明しようと焦っていた。
弁護士の木村から新聞記者の笹岡を紹介された恵那。
政治部記者の笹岡は殺人事件現場となった八頭尾山に思い入れがあり、事件について個人的に調べていたという。
笹岡もこの事件は別の真犯人の可能性があると考えていた。

笹岡から当時の事件資料を入手した恵那と拓朗。
12年前事件捜査に関わった刑事に当時のことを聞くのだが
あまり覚えてないと言いながらも最高裁で判決が下されていることを理由に
「犯人は松本で間違いない」との一点張り。
実際に取り調べを行った刑事は既に退職していて所在は不明。
恵那と拓朗は被害者家族との接触を試みるが…

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笹岡まゆみは強力な助っ人となるのか

木村弁護士から紹介された女性は首都新聞の政治部記者:笹岡まゆみ。
八飛市出身の彼女は子どもの頃の思い出の場所である八頭尾山が連続殺人事件現場として有名になってしまったことから
独自に事件を調べていたといいます。

再び女子中学生が殺されてしまったことで松本氏の事件を再び調べてみるとどうもひっかかってしまう、
真犯人はほかにいるんじゃないかと思っていると笹岡は言い
自分が調べた膨大な資料を恵那に渡してくれました。

整理整頓が苦手でおっちょこちょいでガサツでよく喋るおばちゃん・笹岡まゆみ。
彼女が政治部担当であることが事件の解決のカギとなるのでしょうか。

松本良夫の犯行動機

笹岡まゆみから預かった松本良夫の犯行をまとめた資料には犯行当日の様子が
次のように書かれていました。

午後6時ごろ下校中だった被害者:井川晴美さん(14)に松本良夫が声をかけた。
「1万円で下着を買わせてほしい」
2人は人目を避け八頭尾山の山道に入っていった。
晴美さんが下着を脱ぐのを見て衝動が抑えきれなくなり乱暴しようとしたが抵抗されたため首を絞めて殺害した。

この犯行動機は本当に松本氏の自供に基づくものなのでしょうか。
正しく事実に基づいたものであるかを証明できるのは誰なのでしょうか。
吹奏楽部に入り、好きなものは星 という被害者:井川晴美さんは本当に下着を売るような少女だったのでしょうか。

正直あんまり覚えてないんですよ

恵那と拓朗は八飛署へ行き、刑事:平川に松本氏は冤罪で別の真犯人が女子中学生の殺人事件を起こしたのではないかと話します。
しかし平川は「よくこんなこと思いつきますよね」と笑い
「結論としては松本良夫が犯人で間違いありませんので」と言い切ります。

「万が一にも…」と食い下がる恵那に「完璧に解決済の事件ですので」と取りあおうともしない平川。
当時は下っ端だったし正直あんまり覚えてないと言って話を終えようとしたところ
拓朗は「覚えてないのに犯人で間違いないって変ですよね?」と言い出します。

今まで黙っていた拓朗に言葉の隙をつかれた平川は怒り気味に部屋を出ていったのですが
この拓朗の言葉が引っかかる人が警察署内にいたらいいのにと思いました。

斎藤の助言は恵那の為なのか

松本氏の取り調べをした元刑事は
”私らが「お前がやったんだな」と聞いたのに「許してくれ」と言ったんだからそりゃやったということですよ”
とカメラの前で恵那のインタビューに答えてくれました。
局に戻って編集していた恵那と拓朗のところへやってきた斎藤は
「これどうすんの?戦略あるの?」と問い詰めます。
斎藤は矢継ぎ早に「被害者家族のインタビューあんの?」と聞き
「松本が犯人じゃないとしたら真犯人はどこにいるのか、
真相の追求を一番望んでいるのは被害者家族ってことにするんだよ。それが一番強いじゃん」
遺族のインタビューを撮ることに躊躇していた恵那ですが斎藤の言葉に遺族の元へ行こうと決心します。

斎藤の言葉は恵那へのアドバイスだったのか、逆に諦めさせるために無謀な方法をとらせて断念させるつもりだったのか
今の斎藤の立場だと後者のように思えるのです。

謎の男

恵那と拓朗は遺族の家を訪ねましたが水を撒かれて追い払われてしまいました。
喫茶店を出た恵那は女子中学生たちの後を追ってさびれた商店街の中に入りこみました。
恵那はシャッターが半分開いた店の中にいた男に声をかけます。

「10年位前にこのあたりで若い女性が連続して殺された事件って覚えていらっしゃいますか?」
すると男は「藪から棒に、ずいぶん物騒な話題ですね」と言います。

「その話をするなら僕はまずこの店を閉めなければ。
シャッターを降ろしてカギを閉めこの電気を消しそしてあなたが聞くというのなら話しますよ」
「あなたがお知りになりたいものは言語なんて目の粗い道具だけですくいとれるものではありませんよ」

何者か全くわからないこの人物は恵那の顔を知りませんでした。
もしかしたら事件の何かを知っているのかもしれない謎の男。
彼の正体は何者なのでしょうか。

遺族の気持ち

恵那のところに被害者:井川晴美さんの姉から電話がありました。
妹が下着を売るなんて絶対ない、信じるわけにいかないと思って生きてきたという姉の純夏さんは
晴美にはもっと全然違う理由があったんだと
恵那の手紙に救われたと言って涙ぐみます。

恵那と拓朗は純夏さんと八頭尾山に行きインタビューを撮りました。
「あの日はしし座流星群がたくさん見える日だったんです。私も妹も星が好きで、昔からよくここで観察してて。
あの日も約束してたのに帰ってこなくて…」

事件の真実はいったいどこにあるのだろうか。
冤罪事件の被害者は死刑囚だけでなく
歪められた真実によって遺族も苦しめているのだとしたら
冤罪事件の闇は深くその罪は重すぎる。

正しいことなら勝手に味方はついてくるはず

純夏さんのインタビューを撮ったことで絶対お蔵入りにできないと思いながらもどうしたらいいか悩む拓朗。
そんな拓朗に「これからは正しいと思う事だけをやるの」と宣言する恵那。

「素人のクセにジャーナリストの真似事なんかしていいのかなって。
でも純夏さんに会って本当にこれが正しいことなら勝手に味方はついてくるし道は開けていくんだよ」

出来上がったVTRをフライデーボンボンの若手スタッフにみせるとみんなは賛同してくれて
定例会議でも恵那の後押しをしてくれました。

正しいもの が受け入れられる
そういう日がやっと来たのでしょうか。

用事ってなんでした?

恵那のマンションを訪れた斎藤は「どうしても話したいことがあって」と言い
飲めないお酒を飲んでフラフラしている恵那を見ても自分が落ち着くためにタバコを吸ってもいいか聞きます。
「サイテーですね」と言われても斎藤は態度を変えません。
斎藤は「例の君らが追ってる冤罪事件なんだけど…」と言いかけると恵那が
「あーそれはもうダメになりました。きょう正式に局長判断で」と遮りました。

身体を震わせ声をあげ号泣する恵那。
悔しくてたまらなかったのでしょう。
飲み込めないものは飲み込まないはずだったのに
もう少しで取材したものを放送できるかもしれなかったのに
自分は権力に負けたのだ、純夏さんの思いをチェリーの証言を活かすことができなかった
恵那の心情は痛いくらいに伝わりました。

「用事ってなんでしたっけ?」と聞く恵那に「いや、もういいんだ」という斎藤。
恵那の部屋を後にした斎藤が会いに行った人は副総理大臣の大門雄二でした。
大門は警視庁長官出身であり幅広い人脈を生かし政界で相当幅を利かせている人物。
大門が官邸キャップである斎藤に一目置いているのは自分にとって有利に斎藤が仕事をしてくれるからなのでしょう。

大門のところに笑顔で現れた斎藤は一体何をしに来たのでしょうか。
松本氏冤罪事件の報道がお蔵入りになったことを報告するためなのか
それとも自らが手を出さなくとも局が規制したことが嬉しかったのでしょうか。
どちらにしても斎藤はこの冤罪事件が世に出てほしくなかったことは間違いないでしょう。

4話考察・真相予想と感想

恵那が強行策に出た。
「フライデーボンボン」で流すエナーズアイのVTRを被害者遺族ら事件関係者にインタビューした映像にすり替えて放送したのだ。

拓朗すら知らなかった恵那の行動にスタッフは呆然とし、放送不適切とされたVTRを勝手に放送した恵那は厳しく叱責される。
だが冤罪事件の特集記事への反響は想像以上に大きく話題性や視聴率の良さに局長からも次回を楽しみにしていると声を掛けられるほど。
恵那と拓朗は戻れない大きな箱を開けてしまった…

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「いいよ、最後まで流せ」

恵那は冤罪事件のVTRをお蔵入りにすることができず、勝手にエナーズアイのコーナーVと差し替えて放送するという強行策に出ました。

騒然とするスタッフルーム。
「どうします?村井さん?」と聞かれたチーフプロデューサーの村井はモニターから目を離すことなく
「いいよ、最後まで流せ」と言います。

「大問題になりますよ。村井さんですよ、最後まで流せって言ったの」と責任逃れをする名越。

いつもなら先頭切って恵那に暴言を吐くのに何も言わずに黙ったままで元刑事の話や純夏さんの映像を凝視していた村井
元報道番組を担当していたから興味を持ったのか
それともあの事件を報道した責任を感じているのか村井の表情からはまだ読み取れません。

そして自分のインタビュー映像を不安そうな表情を浮かべながら見るチェリー
彼女もどういう気持ちでスタジオにいたのでしょうか。

6.5%

ゲリラ放送は意外にも評判が良く、視聴率も6.5%と今まで見たことない数字だと拓朗は喜びます。
しかし恵那は正反対で「おじさんたちのメンツは丸つぶれ、これからはもっと下手に下手に出ながら事を進めなきゃいけなくなったんだよ!」とたしなめます。
「おじさんたちのメンツとプライドは地雷なの。死んでも踏まないように歩かなきゃいけないんだよ!」
恵那が閉鎖的な男社会で生き抜くにはいろんな苦労をしてきたんだなと感じました。

廊下ではちあわせた局長に頭を下げる恵那。
しかし局長は「いや~よかったね~エナーズアイの特集」と明るく話し
「第2回やるんでしょ?なるべく早くやった方が良い。数字も良かったし」と去っていきました。

結局数字か。だけどこの波は利用するしかない。
頭を下げながら自分の仕事を取り戻していこうという恵那。
こういう感覚を持ちながら頑張っている女性たちはきっと大勢いるのだろうなと思い恵那を応援したくなりました。

笹岡まゆみの推理

フライデーボンボンを観たと言って笹岡まゆみが恵那と拓朗に会いに来て
最近起きた女子中学生(中村優香)事件を神奈川県警がほとんど捜査しないで終わらせるようだと言うのです。

そして重要なことに気付いたというのです。

暴行された形跡はあるが着衣の乱れはない。
体勢もまっすぐに整えられ腹部の上で両手が組まれていた。
何故か右足の靴だけがない。
という中村優香さんの遺体の特徴が井川晴美さんの遺体と全く同じだと笹岡は言うのです。

二つの事件の犯行は同一犯によるものだとド素人の自分でも思うのに警察が何もしないのはおかしい。
県警が捜査したがらないのは自分たちの間違いを認めないためだと笹岡は言うのです。

こんなことって本当にあっていいのでしょうか。
こんないい加減な捜査であっても遺族は何もできないのでしょうか。

再審請求が棄却されたのはなぜ

エナーズアイの第2回放送の反響は大きくネットニュースにもなり視聴率は7.1%となり局長も上機嫌。
放送の尺も5分多くもらえ、恵那も拓朗もやる気を出します。
そんな中、松本氏の再審請求が棄却されたと木村弁護士から聞かされた恵那は
自分たちの報道が再審請求棄却の原因ではないかと落ち込みます。

「敵はどこにいるかわからない」
「おまえらはジャングルで棒切れ振り回してるバカなガキと一緒だ」
「おもちゃみたいな正義感で余計なことするんじゃない」
村井に言われた言葉が恵那の心に重石のようにのしかかってきます。

拓朗は特集を中止するという恵那に「勝手に諦めないで下さいよ、なんか考えますから」と必死に食い止めるのですが
恵那は「勝てっこないよ君なんか、うるさい!!」とやり切れない怒りを拓朗にぶつけます。
世間知らずの拓朗と男社会に丸腰で挑む恵那
ただただ正しさを盾に突っ走るだけではうまくいかないのでしょうか。

知らない方が良いこともあるんじゃないの?

自宅を訪ねてきた斎藤に恵那は「この前ここに来た時私に話があるって言ってましたよね?
あれって何だったんですか?」
ド直球ストレートに疑問を斎藤に投げかけます。

斎藤は笑って「あいかわらず君の世界は君を中心に回ってるんだな、小学生みたいに」と小馬鹿にします。

恵那は冷静さを装いながら再度「私に放送をやめさせたかったんじゃないですか」とまっすぐ斎藤を見つめます。
あっさり「そうだよ」と認める斎藤。
理由を聞く恵那に「知らない方がいいかな、傷つくよ君。
知らない方が良いこともあるんじゃないの?」と言って恵那に触れます。

斎藤の誘いを拒めない恵那。
自分の無力さを感じ斎藤に身を任せ守られているような錯覚を求め
極端にものを持たない生活をしていたのに買ったベッド。
そしてそんな恵那の思いを斎藤は簡単に見透かしている。
恵那と斎藤の関係は恋愛なんて生ぬるいものではなく欲と打算と駈け引きの代償なのでしょうか。

僕は裏切ったヤツです

視聴者から犯人の名前が書かれた手紙を5万で買った拓朗。
村井に「ガセだよ」と言われますが「負けちゃダメっすよね~これしきの事に」とつぶやきます。
すると「やれよ、ひとりでも。男だろ?」と煽られます。

黙り込んだ拓朗は「自分は勝ち組だと言われ生きてきたけど本当は何にも勝ててない、
より負けてきたんじゃないかと思う」と村井に愚痴ります。

店を出てビルの屋上に行く村井と拓朗。
村井は2007年明王中学の2年生が自殺したときにここからカメラで撮ったんだと拓朗に話します。

「同級生がいじめで自殺した時、お前はどのポジションにいる奴だったの?
いじめるヤツ?かばうヤツ?見て見ぬふりするっていう一番ありがちなヤツ?」

村井の言葉に小さな声で「気づいてなかったというか…記憶もあまりなくて…」と背を向ける拓朗に
「逃げんな!自分が何に負けてきたのかちゃんと向き合え」
「それができない限りお前は一生負け続けて終わるぞ」と怒鳴る村井。

拓朗は中学を見つめながら「僕は裏切ったヤツです」と過去の自分と向き合い涙をこぼし話します。

友達だったのに言えなかった。
手のひらに鉛筆の芯がいっぱい刺さっている手のひらを見せてきたのに
ママにいうのが精一杯だった。でもママも何も言わなかった。
いじめの主犯が学年で1番の有力者の息子だったから
だからママも何も言わなかった。

一番嫌いで許せないはずの奴らに媚びへつらいながら勝ち組にいさせてもらうため
友達を裏切っていじめを打ち明けられたのに何もできず、そのことを悔やみながらも何もできないままの拓朗。
「正しいことをしたい」という彼の思いは何もできなかった中学時代の自分と
亡くなった友達への罪滅ぼしなのでしょうか。
人生の勝ち組とはいったい何なのでしょう。

5話考察・真相予想と感想

松本死刑囚の再審請求が棄却された。
責任を感じたチェリーは自殺を図り、フライデーボンボンの特集も中止となってしまった。
大きな力に脅威を感じた恵那は何も言わずに黙っていたが
世間の反響の大きさや視聴率の良さから拓朗は中止に納得がいかない。

「逃げるな!」村井からの言葉をうけ拓朗は独自で事件の目撃証言をした男・西澤の身辺調査を始める。
そして誰にも知られていなかった真実を手に入れたのだが…

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西澤正の証言

拓朗は1人で取材をしていた。
逮捕の決め手となった目撃証言をした男・西澤正。
犯行直後の松本氏を見たという西澤の証言は、当初他の人が目撃していた
”若くて髪の長いすらっとした男の人”とは明らかに食い違うものでした。

拓朗が取材に行った西澤の自宅はゴミ袋がいくつも置かれ、
近所の女性を大声で怒鳴りつけ車を暴走させて毎日パチンコに行っている
この西澤正という男の証言を警察はなぜ信用したのでしょうか
今の拓朗はこの”西澤正の情報を集める”ことが自分のできる正義のひとつだったのでしょう。

自転車を買い出会う人に次々写真をみせて西澤の情報を得ようとする拓朗は
自分の息子が西澤の子どもと同級生だという女性に出会います。
「この親父、マジでやばいよ。DV、しかも家族全員」
拓朗が自分の足でつかんだ真実。
このことが事件に大きくかかわっていくことは間違いありません。

空気の読めない男の活躍

片っ端から聞き込みをして西澤の長男・健太が通っていた小学校の同窓会に潜入した拓朗。
西澤健太のことを聞きまくる酔っ払った拓朗は
健太の親友に怪しまれ金属バットを持ったヤンキーに健太を探す目的は何なのか脅されます。

拓朗が父親・西澤正からの頼みでDVから逃げている健太を探していると勘違いしていた彼らに
拓朗は「西澤さんの事でおかあさんにお聞きしたいことがあります。12年前の事件についてです。
ダメもとで頼んでみていいですか?」と言います。

拓朗の必死さが伝わったのか健太に電話をしてくれ
ました。
以前、警察署で刑事にしれっと「覚えてないのに間違いないって変ですよね」と普通に言える拓朗の感覚は
世間知らずのお坊ちゃんだからなのか
とりあえずダメもとでも言ってみるという処世術を仕事で学んだのか
とにかく拓朗の大きくてまっすぐな眼の力は嘘をついていないことを相手に伝える有効な武器であることに間違いないようです。

恵那と斎藤

そのころ恵那は高級レストランで斎藤と食事をしていました。
「こんなところで…」と周りの目を気にする恵那に
「ニュース8の新人キャスターならともかくフライデーボンボンの女子アナが
誰とメシ食おうが誰も気にしないかなぁと思って」とほほ笑む斎藤。

好きな女とうまいもん食いたい。じゃなきゃ毎日毎日こんなバカみたいにシンドイ思いして働いてる意味なくね?
恵那の心を読むように優しく話しかける斎藤。

恵那は斎藤の前でも食事ができるようになり、楽しそうに笑いながら2人の時間を過ごします。

以前恵那は斎藤にあのスキャンダルの前から自分はダメになっていたと話したことがありました。
報道部のエースである斎藤と結婚して退社することが勝ちだと本気で思っていた。
それが自分にとって最大限の幸せの追求だった。
おそらく今まで付き合っていたときにも斎藤に話したことのない、恵那の本心だったと思います。

全てのものを捨て、食事も受けつけないほど自分自身を嫌っていた恵那が
拓朗の前で食事ができるようになり、自宅には少しずつ家具を揃え
生活を整え自分らしく生きることを取り戻しつつある今。

恵那は本当に斎藤との復縁を望んでいるのでしょうか
恵那の気持ちを知った斎藤に手玉に取られ良いように利用されてしまうのでしょうか。

パワーバランス

フライデーボンボンで冤罪事件は制作中止だと言われた拓朗は理由がわからず、斎藤の元を訪ねます。
斎藤は「うちがごねたんだろうなぁ」と言い
「たぶん警察か検察からプレッシャーかかったんだろう。
そりゃ奴らにしてみりゃ冤罪の可能性なんて一番追求してほしくないところだ」と話します。

このままだとうちだけ会見場に入れないとかネタくれないとかの制裁が起きるかもしれないと
報道局長が番組にクレームを入れたのではと推測します。

“バラエティは報道に文句を言えない”
それが社内のパワーバランスだと斎藤は拓朗に話します。

「もし僕が一発逆転の凄いネタを掴んだとするじゃないですか。
ボンボンでやらせてもらえないからって報道に持ち込んだとしても握りつぶされますか?」と話す拓朗に斎藤は
もしそういうの掴んだ場合は先に俺に相談してほしい。俺から上に掛け合った方が良いと思う」とアドバイスします。

拓朗はこの言葉に社内のパワーバランスを斎藤が何とかしてくれると信用したのでしょうか。
斎藤の言動はすべて保身のために思えてしまいます。

嘘の証言

拓朗は西澤正の元妻である吉村由美子に会いに名古屋へ行きインタビュー映像を撮ります。

拓朗から事件の概要の説明を受けた由美子さんは、元夫の西澤正さんが
松本氏を見たという証言は本当なのかと問われると
「いえ、違うと思います」と小さな声で返事をしました。
拓朗は「すみません、もう少しはっきりお願いします」と言うと身体に力を入れ勇気を振り絞るように「嘘です。主人はその時刻家にいました。
家で酔っ払って寝てました。だから八頭尾山で松本さんの姿を見ていたはずないです」とはっきり言いました。
なぜ西澤氏はそう証言したのでしょうか、と尋ねる拓朗に由美子さんは
「お金をもらったんだと思います」と言い通帳をみせてこう言いました。
「毎月アサベ商事ってとこから30万ずつ振り込まれるようになったんです。電話帳で調べてもそんな会社ないんです。たぶん架空の会社だと思います」

由美子さんが見せた通帳の日付は190125と印字されていました。
19は平成19年、つまり井川晴美さんの事件が起きた翌年の1月からお金が振り込まれていたのです。
元夫が怖くて誰にも本当のことを言えなかったと語る由美子さんは泣きながら
「本当に申し訳なかったです」と頭を下げました。

ずっと黙っていて誰にも言えなくて、もしも何か言ったら元夫からまた暴力を受けるかもしれない。
子どもを守るためにひっそりと生きてきた由美子さんでしたが
子どもたちも成人し大丈夫だと言ってくれたことが拓朗のインタビューを受けようと考えたのでしょう。

西澤正の証言の信ぴょう性を確かめるつもりがとんでもないネタを入手してしまった拓朗です。

同期の滝川

同期の滝川は恵那に「冤罪の件、どこまでいった?」と聞き
「個人的には続きがあるんじゃないかなって思ってる」と言います。
そして女子中学生事件の捜査チームが異様に早く収束していることが
恵那たちの読み通り真犯人が別にいてその真犯人を逮捕させまいとする大きな力が関わっているのではないかと言うのです。

滝川はずばずばと要点を的確につつきながら恵那に「ところで復活したの?斎藤さんと」と聞きます。
「うん」と答える恵那。
先日プラネタリウムデートの時には恵那の左手にはダイヤの指輪がありました。
恵那と斎藤の2人の関係はあっという間に修復し進展していたのですね。

「ちなみに斎藤さんなんか言ってた?この件について」と聞いてくる滝川は
「だってあの人が今永田町で誰に可愛がられてるか知ってるでしょ?副総理の大門さん。元警察庁長官の」

恵那は斎藤の今の顔を見て何を感じたのでしょうか。
急速に深まる恵那と斎藤の関係には何らかの策略があるように思えるのです。

君は本当にすごいことをしたね

拓朗は吉村由美子さんのインタビューをフライデーボンボンで流そうと計画し差し替えを頼んだのですが
緊張し震える手でVTRを渡す様子から不審がられ失敗。
またしても闇に葬られたと思いスタジオを飛び出してしまいます。

一方村井から拓朗のVTRのことを教えられた恵那は拓朗に謝ります。
「ごめんなさい。私が情けなかったこと、迷った挙句に逃げたこと、戦いもしないで負けに甘んじたこと。
君は本当にすごいことをしたね」

またしても何かの圧力で放送されなかったと思っている拓朗に
「やっぱりまだわかってない。もうそんな次元の話じゃないの。
そんなの何もかも全部吹き飛ばせるような決定的で最強の真実を君はつかんだの

新人ディレクターで恵那の後ろを追いかけ恵那の手伝いをしていた拓朗が
たった一人で誰も掴めなかった真実を見つけ出し形に収めた。
裕福な家を出て母親と距離を取り、自分の空腹にも気づかず睡眠不足もわからず
拓朗が必死に追い求めた正しいもの。
これなら本当に松本さんを救うことができるかもしれない。
拓朗の努力を絶対に無駄にさせないと恵那は決心したようです。

6話考察・真相予想と感想

西澤正が「松本死刑囚を見た」というのは嘘である。
逮捕の決め手となった目撃証言を覆す元妻による衝撃の告白をフライデーボンボンで放送したことで
恵那たちの想像を超える反響が起きてしまう。

西澤正のところにもマスコミが詰めかけたため西澤はどこかに逃亡してしまった。
木村弁護士は冤罪を晴らすことができる重要参考人を失ってしまったと恵那に怒りをぶつける。

そして恵那は事件を追っていた記者として古巣の「ニュース8」に出演することを迫られる。
https://youtu.be/bC0dILBS4lU

うちでやる

拓朗の取材VTRをどうするかについて恵那と拓朗は村井に呼び出されました。
名越はすごい新事実を収めたVTRだと認めましたが
再審請求の可能性が出てきた以上報道でやるべきだ、でないとこの事実の重みが損なわれちゃうと言いました。
ですが村井は意を決して「いや、うちでやる」と言い切ります。
名越は立場的に村井の言うことに逆らえません。
恵那に止めてもらいたかったのでしょう。

恵那も拓朗の大スクープなので彼にやらせてあげたいのはやまやまだけど
これほどのネタをうちが先に出してしまうと報道のメンツが丸つぶれ、
フライデーボンボンの後追いなんてやってくれないし過去のニュース映像を貸してくれないとか
弊害が起きると村井を説得します。
しかし村井は首を縦に振らず「特集25分、オープニングの後これまでの事件の概要と焦点、
そして独自取材による衝撃的新事実」と称し
あくまでフライデーボンボンの特集記事としてやる、やるといったらやると聞く耳を持ちません。

単にスクープを渡したくないのではなく、このスクープを確実に世の中に公表できる方法として村井は覚悟を決めたのでしょう。

言葉にしない男の呪い

銀座の寿司屋で恵那に指輪を渡した斎藤。
「え?なんで?」と聞く恵那に「ご祝儀相場、この前ちょっとあったんだよ」と言う斎藤。
照れる訳でもなくしれっと大将に追加のネタを頼みます。
恵那もサイズ的に無理だと思いながらも中指に入れてみてから左手の薬指にはめます。
恵那の左手の上に斎藤は右手を重ねますが何も言わないまま過ごします。

”この人は大事なことは絶対に言葉にしない。
ただサインだけ送ってくる。サインはそれを読み取るものに呪いをかける”
恵那の気持ちの中には「指輪の意味は何?」「どうして特集をやめさせようとしたの?」の
答えを知りたいけれどそれは自分が求めているものではないかもしれない。

斎藤が大人だからいちいち言葉にしないのか
それとも決定的な言葉を言わないことが逃げ道を作るずるさを身に着けたのか
どちらにしても恋愛のイニシアチブは斎藤にあることは間違いありません。

揺れる恵那

ニュース8に事件を追っていた記者として出演することになった恵那。
村井は柄にもなく口ごもりつつも恵那と斎藤のことを心配します。

恵那も今まで閉ざしていた感情があふれてきそうになり
「斎藤さんはいったい何がしたいんですかね」と村井に話します。
「だって権力の犬になるなんて、それで真実を捻じ曲げるなんて
昔あの人が一番軽蔑していたことですよね。いつの間にあっち側の人になっちゃったんですかね」
村井は斎藤のことを「素質がありすぎるんだよ、報道じゃなくてあっち側のそれに自分でも気づいてる」
と言います。

そして今ならただ原稿を読まされていただけだと言えるし、斎藤も大門に対して言い訳できるが
ニュース8に事件を追っていた記者として出れば斎藤の立場は微妙になり
強いては大門とどちらを選ぶかという事態になり得ると言い自分が出演しようかと話しかけます。

恵那は「出ます。この仕事はまるごと今の私自身なんです」と
村井に話している最中に斎藤からLINEが入ります。
斎藤からのLINEに今村井が話してきたとおりのことが書かれているかもしれないと感じた恵那は
携帯を村井に渡しその場を逃げだしスタジオに向かいます。

恵那はどこまでも女であり斎藤はそれを心得ている。
この駈け引きはどちらが勝つのでしょうか

斎藤のあふれる才能に恵那は押し流されてしまうのでしょうか。

退職届と異動辞令

フライデーボンボンは世間を騒がせたことへのけじめをつけるため放送打ち切りが決定。
村井チーフプロデューサーは関連子会社へ岸本拓朗は経理部へ異動となりました。
フライデーボンボンは打ち切りと言いつつも新番組「ウイークエンドポンポン」に名を変え
司会の海老天さんは継続、スタッフもそのまま残留が多く言ってみれば体裁を繕っただけの対応です。

しかし司会の女子アナは一期下の後輩へ変わりボンボンガールたちは総とっかえ、
ここでもテレビ業界の女性軽視が見え隠れしたように思いました。

なかなか内示が出なかった恵那の進退はなんと降板した「ニュース8」のキャスターへの返り咲きでした。
「お前の抜擢は視聴者対応だよ」と言われながらも恵那は
「余計なことはしませんけど必要だと思うことはやります。
真実を伝えられないならキャスターなんてただの嘘つき人形です」と信念を貫く決意を表します。

そしてもう一人、報道部官邸キャップの斎藤も退職届を提出し新たな道へ進みます。

バラバラになった恵那・斉藤・拓朗・村井。
日々目まぐるしく変わる状況に必死についていこうとする中で
八頭尾山連続殺人事件は再び人々の記憶の隅に追いやられてしまうのでしょうか。
またも真犯人はこのまま野放しになってしまうのでしょうか。
斎藤との別れを受け入れた恵那は再び忙しさの中で自分を見失ってしまうのではないでしょうか。

7話考察・真相予想と感想

副総理大臣の大門が八飛市出身だと気づいた恵那は、新聞記者の笹岡まゆみに大門の身辺調査を依頼する。
もともと斎藤の様子から大門が圧力をかけ冤罪事件をもみ消そうとしていたことは間違いない。
しかしまだ事件と大門との接点は推測にすぎない。

一方、経理部へ異動した岸本拓朗は引き続き事件を追っていたが新たな手掛かりは何も得られないまま。
恵那は忙しさを理由に調査に同行してもらえない。

村井にボヤく拓朗はニュース8の速報で松本死刑囚のDNA再鑑定が決定したと恵那が読み上げるのを聞いてスナックを飛び出していく。。。

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頼りになる女性・笹岡まゆみ

ニュース8のキャスターに返り咲いた恵那。
多忙な日々の為松本さん冤罪事件の調査が進まない。
恵那は大門副総理が何らかの関わりがあるのではないかと気になり笹岡まゆみにこのことを話します。

笹岡も言われてみれば当時警察庁長官であった大門が県警に圧力をかけて真犯人逮捕をさせなかったのならば
かなりリスクの高い無理、相当に近しく有力な人物の頼みだったのではないかと推測します。

笹岡まゆみ、資料や原稿の整理整頓は全くできないが事件の推理の道筋はまっすぐ筋が通っています。
恵那の大きな味方になってくれるといいですよね。

ただのお役人だもん

拓朗の友人・悠介に呼び出された拓朗は久しぶりに母親・陸子とテーブルを囲みます。
話題はやはり冤罪事件のこと、陸子は弁護士の意見としてDNA再鑑定は難しいと話します。
悠介は「目撃証言がインチキだ、裁判をやり直すべきだってみんな言ってるのに」と言うと陸子は
「日本はね検察の方が圧倒的に強いから。世論が高まろうが検察が嫌がることはできないと思う」と言います。
人事権を持っている検察の言うなりだから有罪率が99.9%なのだとも話します。

これが闇なのでしょうか。
ドラマや映画で司法を扱ったものがどんなにあっても現状は何も変わらないのでしょうか。

組織は一枚岩ではない

突然舞い込んできた松本死刑囚のDNA再鑑定を行うというニュース。
その理由を木村弁護士は恵那と拓朗に「吉田富雄裁判長が再来月退官するから」と言い
「再来月退官して普通の人になってしまう前に、出世も左遷も関係ないからこういうことが稀に起きることがある」と今回のわけを話します。

再鑑定の方法は遺品を二つに切り分けて検察側と弁護側がそれぞれ鑑定しますが
遺品に犯人の唾液や精液などが充分に付着しているか、劣化や腐敗がおきていないか
証拠を調べてみないとわからないと木村弁護士は説明します。

拓朗は弁護側・警察側と共に鑑定結果を正直に公表するのか問いますが
木村は組織というのは必ずしも一枚岩ではないと話します。

木村の事務所を後にした恵那は拓朗に大洋テレビの中にも自分や拓朗・村井のような人がいたように
検察や警察、裁判所にもいろんな人がいるかもしれない
善か悪か、公正か不正か どっちに動いていくのか選択されるのかは空気で決まるんだよと
裏切られるかもしれないけど信じてみたいと笑顔を浮かべながら話します。

そんな恵那に拓朗は
「なに平和ボケしてるんですか?甘すぎますよ。散々見せつけられてきたじゃないですか、社会の残酷さとか組織のろくでもなさとか!」
「それともボケてるふりして考えることから逃げたいんですか?」と今までの鬱積した気持ちをぶつけます。
拓朗に嫌みを言われた恵那は激怒し泣きながら「馬鹿!どんな気持ちでいるのか何も知らないくせに!」と拓朗を叩きまくります。
もう一度愛しあえた斎藤と別れてまでも守った冤罪事件。
毎日の忙しさに事件のことに向き合う事すらできない今の恵那。
環境の違いだけが2人の温度差なのでしょうか。

さびしい男と忙しい女

泣きながら家に帰る恵那のところに村井から電話がかかってきました。
「なんもわかってない、偉そうに嫌みばっかり言ってきて、あのボンクラ!」と言う恵那に村井は
「男が嫌みを言ってくるときってのはな、さびしい時なんだよ」と言うのです。

岸本がニュース8の速報をみて店を飛び出していった後ろ姿をただ見送ることしかできなかった村井。
経理になったのに馬鹿みたいに追いかけ続けている その岸本の背中に自分の若い頃を重ねてしまった村井。
自分にもそんなときがあったなぁ、あの頃の情熱が消えてしまった、歳とってしまったのかなと
泣きながらさびしい男・村井は話します。

想えばずっと村井は恵那にセクハラまがいの嫌みを言ってきました。
村井はさびしい男だったのですね。
認められることも少なく、恕熱を注げば邪険にされ努力は報われず
自分より格下の恵那や拓朗のしている事に表立って協力できなかった村井。
経験を積んで組織の上層部へすんなりと行ける人間と
時間の経過が逆に足かせになる人間。
認めたくない現実を誰よりもわかっていて嫌みを言うことで自らのキャラを認定し生きる男のさびしさ。

忙しい女・恵那は村井を「甘ったれないでください」と突き放し「まだ何も終わってないのに老いぼれてる場合じゃないです」と電話を切りました。

この恵那の言葉で村井の情熱は再び燃え上がることに
なるのでは、と思います。

平川は何を考えているのか

拓朗のところにかかってきた非通知電話は八飛警察署の警部補・平川でした。
平川は拓朗から50万受け取り「なんでも聞いてください」と言い
「馬鹿らしくなったんですよ。明らかにつんじゃってるじゃないですか。
とっくに終わってますよ、うちの署は」とまで言い始めました。

「とっととバレてくれと思いました。松本は無実ですよ。
うちは無実の人間を犯人にでっち上げたんです」
「現場はみんな感じてたんだけどよっぽどの裏事情があるんだなと思ってた」
「逮捕できるなら誰でもよかったんだけど、松本は身寄りもない中年男で家出少女なんて匿ってたから最高におあつらえ向きだったんですよ」

こんな理由でおとなしく社会の隅の方でひっそりと生きていて誰にも守ってもらえない人に罪をかぶせてまでも隠す真犯人とはいったい誰なんでしょう。
そしてこの体質はなにも八飛署だけの話でなく
見て見ぬふりをしてやり過ごすことが得意な日本社会と同じです。

拓朗は自分で真犯人を見つけて冤罪を晴らすと平川に話します。
すると12年前の事件よりも最近起きた中村優香の事件を追った方が良いと言い
うちの捜査なんてやってるふりしてるだけで手つかずの証拠もたくさんあるはずだと
USBを机の上に置いて岸本に全てを託しました。

岸本だけがブレずに事件を追い求めているからこそ
情報は岸本を頼りに集まってくるのでしょうか。
平川は拓朗を隠れ蓑にして何を考えているのでしょう。

中村優香の死の真相

八頭尾山連続殺人事件被害者の会を発足させ記者会見を開きたいと
井川純夏さんは遺族に頭を下げました。
拓朗は4人の被害者のうち中村優香さんの家だけ連絡が取れないと純夏さんから相談を受けます。

中村優香さんは若い34歳の母親と2人の兄弟と暮らし、年齢を偽りデリヘルでアルバイトをしていました。
常連客もいて多くの金額を稼いでいたと平川のUSBにも資料が残されていました。

何一つ不自由なく裕福な家庭の一人息子として生きてきた拓朗と中村優香さんの生きてきた人生には
まるで共通点がありません。
岸本は中村優香さんの事件現場で祈ることしかできませんでした。

8話考察・真相予想と感想

かつて迷い込んだ商店街の暗がりの店の中で、恵那が出会った得体のしれない怪しく危険な雰囲気を放つ男。
その男は大門副総理の有力な支援者の1人「本城建託」社長の長男・彰だった。
拓朗はまだ見ぬ「本城彰」とはどんな人物か調べるため八飛市で調査を進めていく。
同時に中村優香さんの情報収集から1人の女子中学生に出会う。

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本城あきら

恵那が古びた商店街の中で出会った男の名前は「本城あきら」だと拓朗は電話で伝えました。
直感的に気になるから調査してと頼む恵那。
まだ見ぬ「本城あきら」を探し近所の人から聞き出した「本城彰」は拓朗の想像とは真逆の人物像でした。
”ちょっと影があってでも挨拶はする、今でいう雰囲気イケメン”
「影があるってことは”怪しい”ってことですか?」と尋ねると
「”怪しい”ってのじゃなくて ”あぶない”って感じ」と教えてくれてもイメージできません。
「危険人物っぽいってことですか?」と拓朗が聞くと
「あんたモテないでしょ?魅力的ってことよ、あんたみたいな坊ちゃんにはない”色気”があるってことよ」
とからかわれながら本質を突きます。

そうは言うものの実際の本城彰の姿はあまり知られておらず
よく外国に行っているという噂だと喫茶店のマスターが教えてくれました。

笹岡まゆみによれば本城彰は2009年から2017年の間、海外留学と言う名目で日本にはいなかったようで
なぜかその間事件は起きていない
これには何かしらの理由があるかもしれない
犯人は相当魅力的な男で、だからこそ中学生たちが強烈に惹かれる瞬間があるついていってしまった何かがあると言うのです。

捜査に女の勘が必要だとはいいませんが男の理論から考える事件というものは女の子の気持ちとはかけ離れているようにも思います。
岸本拓朗が「女がわかりません」というのはただの正直者、当たり前だと思います。

ひかるの携帯

中村優香さんと本城彰の接点がみつからないまま調査は行き詰っていました。
拓朗は地道な聞き込みから中村優香さんがよく家に来ていたという同級生の少女・高岡ひかるにたどり着きます。

しかしながらあまり2人の仲がよさそうに感じられないひかるの様子に拓朗は
「嫌いだったのかな?優香さんの事」と聞きました。
するとひかるはぽつりぽつりと話はじめました。

「嫌いっていうかむこうが裏切ったんですよ。好きだった人を取ったんです」
めっちゃ大人な人で小説とか詳しくてそしたら優香1人で店まで会いに行ったらしくて」
「黒いストールみたいのしてきて、その人にもらったってめちゃめちゃ嬉しそうな顔してて
「もう二度とうち来るなってケンカして、その10日後に…優香死んじゃったから、それっきりになっちゃって謝れなかった…
ひどいこと言っちゃって…」

その後2人は中村優香さんの事件現場に行き、ひかるは花を1輪たむけ泣きながら「ごめん」と手を合わせました。
その帰り道、ひかるは自分の携帯の中にある優香の姿を見せました。
楽しそうにタピオカを飲んでいる動画やお祭りに行った時の浴衣姿、どこにでもいる幼い中学生のふたりです。
そして「優香が隠し撮りしておくってきたんです。隠し撮りめっちゃうまいんで」と男の顔が写った画像をみせました。

拓朗は平川を呼び出し、中村優香の携帯には他の画像があるはずだと言い「本城彰」の名前を出しました。
平川から送られてきた画像には拓朗の推測通り抜き取った中村優香の携帯の画像を見た拓朗は
ひかるが話していたとおり黒いストールを首に巻いて微笑む優香の写真がありました。

DNA鑑定の結果

中村優香の自宅へ行った拓朗は遺品の中から黒いストールを発見しました。
母親から「それで犯人が見つかるんですか?」と聞かれ
「わかんないです、けどやれるだけのことをやってみます」と答える拓朗。
警察がきちんと捜査していると思っている母親は涙をこらえながら「よろしくお願いします」と言います。
大切な娘を失った悲しみと何もできない無力さ、後悔や無念さもあったのでしょう、後ろ姿に母親の心情が表れていました。

拓朗は3か所にDNA鑑定を依頼し、ある仮説を立てました。

『黒いストールから検出されたDNAと井川晴美さんのスカートから採取された型と一致すれば松本さんは犯人ではないことが証明される』
『その型が本城彰本人のDNAと一致すれば、本城彰は井川晴美さん殺害の真犯人であると断言できる』

そして拓朗が思った通り『DNA鑑定の結果は同一人物のDNAであると判定できる』という結果が出ました。
さて、この大スクープを拓朗はどうしたらいいのでしょうか。
権力にねじ伏せられずに情報を間違いなく公表するにはどうしたらいいのでしょうか。

少女の秘密と刑事の工作

拓朗からDNA鑑定の結果を聞いた恵那の反応はイマイチでした。
数日後拓朗は「ニュース8としては後追いはできるけどスクープとしてはやらない」と滝川ディレクターから報告を受けます。

「これほど重大なことを警察も認めていないのに我々が公表してしまった場合のハレーションの大きさと責任の重さを考えたらできない」
「スクープというリスクの高いやり方では報道できないけど、どこかがやったり政府とか警察の反応を見たうえで問題が無ければ後追いと言う形での協力はできます」

それを聞いて拓朗は「浅川さんはそれでいいんですか」と投げかけます。
恵那は「現実的だと思ってる」といい
「ニュース8が目指しているものは堅実で丁寧な報道で視聴者の信頼を得るかってことなんだよ」と言います。
怒りが込み上げてきた拓朗は「当たり障りのないことだけやってたいってことですか?
いいんじゃないですか、自分たちの立場を損ねないためだけの努力を勝手に堅実で丁寧とか言ってれば」と捨て台詞を言い残して会議室を出ていきます。

結局恵那が頼ったのは村井でした。
村井の友人・佐伯は編集長を務める「週刊潮流」で今回のネタを扱ってほしいと頭を下げる恵那と拓朗。
恵那もなんとか後追いでやらせてもらえるよう話をつけると言いました。

しかし校了した記事を印刷にかける直前、ニュース8の速報で恵那は
「未成年に売春あっせんをした容疑で男を逮捕し、その店の従業員リストに中村優香さんの名前があった」と伝えました。
そのことで世間の関心は ”殺害されたデリヘルで働く少女”にむけられ、被害者遺族の会見も中止となり
拓朗は平川刑事を脅迫した疑いで大洋テレビから解雇されてしまいました。

解雇通告

解雇通告を受け、自分は知らない間に多くの敵を作っていたんだと実感した拓朗。

「裏切ったらそれ相応の手を打つ」と言った平川。
「もしそういうの掴んだ場合は俺に相談してほしい」と言った斎藤。
ニュース8のディレクターの滝川。
いろんな人の顔がよぎり、誰の力が関与したかしていないのか拓朗自身には判断つきません。

ニュース8のメインキャスターとなった恵那のポスターにあるキャッチコピー
『あなたの知りたいにまっすぐ』が薄っぺらく思えます。

「飲み込みたくないものは飲み込めない」
「普通に正しく生きていればいいの。いい人間になれば勝手にいい声になるんだよ」
「これが正しいことなら勝手に味方はついてくるし道は開けていくんだよ」
「最強の真実を君はつかんだの」

恵那はいつも自分の心の中をストレートに岸本拓朗にぶつけました。
恵那は拓朗に言いながら自分自身に言い聞かせてきたのです。
恵那が話す言葉を信じ、恵那の思いを受け止めて恵那の助けになりたい、認められたいとの思いで調査を続けてきた拓朗は
確かに恵那と同じ方向をみつめ目指して進んできたはずでした。
離れていてもどこかで恵那はわかってくれていると信じていたから拓朗は動いてこれたのでしょう。

退社の日、武田信玄を演じていた桂木さんに
「僕は応援している。信じている。君はどこで何をしていようとまぎれもなく一流のジャーナリストだ」とハグされた拓朗。

突然の桂木さんの言葉に驚きながらうっすらと嬉しさがにじみ出た拓朗に
君の見えるところに敵が何人もいるかもしれないけど
君の見えないところ、知らないところで応援してくれる味方となってくれる人もいるんだよと教えてあげたい気持ちになりました。

このまま闇に葬られるわけにはいかない人々

拓朗は大洋テレビを退社させられフリーのジャーナリストを名乗ることになるようです。
子会社に異動となった村井は自分の昔の姿を拓朗に重ね合わせ
自分の中にあるかつての情熱を呼びおこし、拓朗の力になろうとします。
おそらく笹岡まゆみや木村弁護士も拓朗の味方になってくれるでしょう。

ここでカギになる人物が斎藤です。
大門副総理にかわいがられているとのことですが大洋テレビを退社後はフリーのジャーナリストになり
テレビで政治をわかりやすく解説してくれるコメンテーターとして人気を得ています。
退社後すぐに大門副総理につかなかったのはなぜなのでしょう。
自分のネームバリューをあげるため、テレビの力の使い方を熟知しているからこその作戦なのでしょうか。
それとも大門副総理の裏の顔を暴きつつ、聖人君子として拓朗が集めたスクープでの失脚を試みているのでしょうか。

どちらにしても斎藤は非常に賢くセンスのある男。
自分自身のアピールや他人の懐に入り込む術を持っています。

『エルピス』が実在の冤罪事件から着想を得たとするとドラマのエンディングには3つのパターンになるのではと思います。

1.真犯人が捕まり松本さんは冤罪であると認めらて釈放される
2.松本さんは冤罪だと認められるが真犯人逮捕には至らない
3.松本さんが冤罪だと認められる直前に死刑が執行される

これまでの拓朗が地道に調査してきた物証から冤罪であることは間違いなく証明できると思います。
その先は誰が・どのように・どういう方法を使って世の中に伝え司法を動かせるのかというところがカギになるでしょう。
発信する手段・届けたい人にどうやって届けるかと考えた時に
やはり最後は拓朗・恵那・村井チームがマスメディアの力を使い強行策としてニュース8でやるしかないと思います。

斎藤は全力で恵那と対峙してくるでしょう。
もしかしたら3人とも命を狙われるようなことが起きるかもしれません。
事件ではなく事故とするくらい簡単なことでしょう。
しかし全力で心を込めて真実を伝えようとしている姿に心を動かされる人はいるはずです。
拓朗にエールを送った桂木さんのように世の中には真実を求め矢面に立つ人を応援する人もたくさんいると思うのです。

パンドラの箱を開けた恵那と拓朗には様々な「災厄」が出てきました。
自分自身が見ないふりしてごまかしながら過ごしてきた過去に悩まされたり
思いもかけない展開に一喜一憂し、自分の無力さや不甲斐なさを見せつけられたりしました。
ですが最後には「希望」が出てきたことで2人は絶望しないで生きることができるのだと信じたいのです。

エルピスは単に冤罪事件がどうやって生まれたか、その後どうなったかをドラマ化した訳ではないと思うのです。

世の中にある男女格差
いまだにはびこるパワハラやセクハラ
忖度と言う名でごまかされた圧力
力を持つ者と持たない者。

報道が伝える真実とはいったい誰にとっての真実なのか。
誇張やセンセーショナルなタイトルが真実を見えにくくしたり
発信する側の言葉の重みや影響力、受け取る側の無知ゆえに簡単に躍らせれてしまう大衆。

ドラマ『エルピス』のラストシーンがどのような終わり方を迎えても、私たちには希望がある と思えるような締めくくりであってほしいと願います。

9話考察・真相予想と感想

連続殺人事件の真犯人は本城彰である。
その事実を裏付ける証拠であるDNA鑑定の結果を持ちながらも公にすることを何度も阻まれてしまう岸本拓朗。
どんな圧力がかかっているのか、誰が阻んでいるのかなす術の無い拓朗は大洋テレビから解雇されてしまった。
拓朗はフリーのジャーナリストを名乗り村井の紹介で1人の男と出会う。
その男とは大門亨。
大門副総理の娘婿で秘書も務めている。
実は村井と大門亨は過去にある告発を試みたことがあるのだが…

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印象操作と偏向報道

「八飛市の風俗店経営者が未成年者売春あっせんの容疑で逮捕、中村優香さんの事件との関連を警察が捜査中」
ニュース8の会議でこのニュースを取り上げるかどうかで恵那が苦言を呈しました。

警察は以前からデリヘルをしていたことは知っていたはず、なのに今この情報を上げたのはなんらかの意図があるとしか思えない。
つまり「印象操作」なのではないかと言いました。

印象操作とは相手に与える情報を取捨選択したり意図的な伝え方をして相手が受け取る印象を制御しようとすること。
つまり中学生なのにデリヘルをする少女なら事件の被害者になっても仕方ないと世間に思わせたり
刺激的な情報を与えて犯人より被害者に興味を持たせることで
警察にとって都合のいい部分だけを公表し、都合の悪いことに目を向けさせないようにしたのではないかと恵那は主張しました。

ですがウチだけキャスターの一存で報道しないというのは偏向報道、つまりマスコミは公平であるべきという理念に背いているとプロデューサーに言われてしまいます。

今この情報を報道することの意味を真剣に考える人は恵那以外にいないのでしょうか。
恵那はまた飲みこんじゃいけないものを飲み込んだように思います。

野心と欲望のバブル世代の灯

村井は1人の男を訪ねます。
「斎藤の悪口でも肴に酒でも飲めれば」と誘う相手は大門亨、大門副総理の秘書であり娘婿でもある男でした。
村井は岸本にフリージャーナリストを名乗らせ大門亨に紹介します。

亨は大門副総理が警察庁時代の元部下で真面目で正義感の強い男
2017年に大門が大臣だった頃、自分の派閥の議員が起こしたレイプ事件をもみ消したことの内部告発を
村井に持ち掛けてきたことがあったというのです。

村井は亨のインタビュー動画を撮ったのですが放送直前にお蔵入りになってしまいました。
理由は大門が副総理になったから。
村井は上層部にかけあったり亨を説得したりしていましたが、突然村井は報道から外され
「フライデーボンボン」への異動が言い渡されました。

村井の情熱を上層部や報道が”抱えきれなかった”のでしょう。
村井は「こんな特大スクープ取れたのが嬉しいし誰にも渡したくない。渡すくらいなら俺が墓場まで持ってく」と言いながら
拓朗に取材動画を拓朗に「やるよ、ばーか」と渡しました。

村井は拓朗にかつての自分にあった情熱を感じ、この男に賭けたのでしょう。
拓朗の元にまたひとつ大門を闇から引きずり出すための駒が集まりました。

善玉と悪玉

恵那は美容院で他の客と美容師の会話が気になります。
「どっちが悪玉菌でどっちが善玉菌かなんてほんとは無いんです」
大事なのは菌の種類がたくさんあってバランスが取れてるってことなんですって」
「種類が少なかったりどっちかだけが多かったりするとそれが悪玉になっちゃう」

よくある何気ない会話ですが、この話は腸内細菌だけでなく人間社会に当てはめても同じことが言えると思うのです。

少女の敵のように報道された松本死刑囚はチェリーさんの誕生日にケーキを買ってくる優しいところがありました。
1人の人間を悪玉か善玉か2種類に分けて隔離することには特段意味などなく
大切なのは1人の人間の中にいろんな考えを持ち合わせたり人の意見に耳を傾け柔軟に取り入れることができるかどうかと言うことだと思うのです。

菌の種類が少ない、と言うことは自由に考えを言えない場所や制圧によって考えることすらさせてもらえない環境ともいえるでしょう。
そこでは善玉や日和見も悪玉になってしまう
閉鎖された社会や組織が陥りやすい理由はこんな何気ない日常の世間話の中に答えがあるのです。

恵那の想い

恵那と斎藤が別れてから半年が経っていました。
恵那はニュース8のキャスターとして、斎藤はテレビや雑誌でフリージャーナリストとして注目を集めている存在。

”斎藤は自分自身の野心のために報道を捨て、政界に行こうとしているわけではない。
実は密かな理想があって本当に公平で自由な世界を実現させる為一人孤独に戦っているのだ”

どこかで恵那は斎藤のことを『理想を実現させるために厳しい世界へ旅立った人』と信じ
そうすることで指輪までもらった人との決別を美化することで現状と自分の立場を維持することができる状態となっていました。

拓朗と大門亨

大門亨は離婚届を出し拓朗に全てを話す覚悟ができたといいます。

真面目な亨は心を痛めていました。
大門の派閥議員がアルバイトの女子大生を強姦した。
秘書である自分は被害者の女性ではなく加害者である男を守るために動いた。
そして女性は自ら命を絶った。
その罪深さを背負い続けて生きていくしかないと拓朗に話します。

自分の告発で大門副総理と自分が罪に問われたら…と考え迷いながら生きてきた大門亨。
斎藤は今後の大門の後継者となり得る人物だと考え
大門と亨が罪に問われても大門が築いた地盤と娘、孫をきっと斎藤が引き継ぐはずだと信じ
自分の心が動く方へ進む決意を持ちました。

そんな亨の言葉に拓朗もうつむきながら
「僕も昔自殺した友達のことを思いながらこの仕事をやっています」と話します。

その後亨は「大門の事務所も辞めた、もうしがらみはないから心配しないで思うようにやってください」と拓朗と電話で話します。
その直後亨の家のチャイムが鳴り、何者かに連れ去られ、その5日後車の中で遺体となって発見されました。

離婚届を出し事務所を辞めた男が何をするのか、きっと残された側の人々は安易に想像できたでしょう。
そして大門亨は口封じされてしまいました。

病死?自殺?それとも…?

斎藤は大門亨の葬儀のマスコミ対応を行っていました。
そこへ村井がへらへらと現れタバコをくゆらせながらこう言います。
「なに揉めてたの?」
「ホントは病死じゃなくて自殺だから?」
「ってかもっと、ホントは自殺じゃなくて他殺だから?」
斎藤は村井の言葉に一瞬固まりゆっくり振り向き無言で睨みます。
村井は「やだコワイ~顔~」と茶化しつつ話をやめません。

「でもさホントに怖いのは斎藤君じゃないよね。
こんな怖いことサラッとやっちゃう人達」
「引き返すなら今じゃないかな、でないとこの先はもう戻ってこれねえぞ」

斎藤と別れた後村井は大洋テレビの記者に出会い大門副総理のインタビュー音声を聞きます。

”大門亨は大変優れた秘書でありいい夫だった
彼の誠実さにはどれだけ助けられてきたかわからない
我慢強い男だったため病気の進行に気付かなかったことが悔やまれる”

「これが案外泣けるんすよ。ちょっと意外な一面で良いの録れました」と自慢げに差し出されたボイスレコーダーを
村井は地面に投げつけ何度も踏みつけ唾を吐きかけました。
嘘で隠した真実を私たちはどうやったら知ることができるのでしょう。
権力を持つ者の言葉を私たちは簡単に信じてしまうのは何故なのでしょう。

私は斎藤自身が大門亨に直接危害を与えたわけではないと思います。
ですが全く知らなかった訳でもないと思います。
離婚届を出し事務所も辞めた亨が次に何をするのか、長い付き合いの大門副総理は容易に想像できたことでしょう。
村井や拓朗とのインタビューや動画の存在を知っていたかどうかはわかりません。
ですが自分たちの保身のため闇に葬ることなど当たり前のように今まで何度もしてきたのでしょう。
躊躇もなく指示を出す人間、そして何も考えずに指示をこなす人間
そういう人に斎藤もなってしまう前に「戻ってこい」と言った村井ですが
もしかしたらもう戻ることのできない「そっちの人間」になってしまったのかもしれません。

10話考察・真相予想と感想

大門亨が死んだ。
大門副総理の娘と離婚し事務所も辞めて決意をもって拓朗に告発をした大門亨。
これからの生き方で罪を償おうとしていた男が自殺などするわけがない。
拓朗は大門亨の死の意味を感じ何もできなくなってしまう。
村井は亨の正義感を踏みにじり自らのイメージアップを図るかのような大門のインタビューを
平然と取り上げる報道の現状に怒りを爆発させる。

この先どうしたらいいのか。
真実が次々と自分たちの元に集まってくるのに
拓朗は、村井は、恵那はどうするべきなのか。

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村井の正義

恵那は拓朗の自宅を訪ねます。
村井が昨日ニュース8のスタジオに殴りこんできてセットを壊し3人にケガを負わせた理由を拓朗に教えてほしいと頼みます。

「知ってどうするんですか」
「ニュース8のトップニュースとかにしてくれるんですか?してくれないですよね?」
「聞くだけ聞いて努力っぽいことしたり正義っぽい気分になりたいだけですよね」と恵那を拒絶します。

村井は入社当時の恵那の上司でした。
曲者で口が悪くセクハラ・パワハラで最低の上司だけど、恵那にとって報道人としては尊敬できる先輩でした。
そんな村井が誰よりも大事にしていたはずのスタジオでセットを壊し今の報道を嘆き叫ぶ姿は
悲しく寂しくやるせないものでした。

村井の中にある報道人としての情熱をスタジオの中のどれだけの人が理解できたのでしょうか。
ただ訳の分からないことを言って暴れた偏屈なオヤジと思われたままでは村井の心は救われません。

なんで殺されなきゃいけないのよ!

恵那は「自分には力が絶望的に足りないけれど逃げるわけにはいかない、
向き合うしかない、そこから始めるしかない」と必死に自分の言葉を拓朗に伝えました。

拓朗は亨のインタビューを恵那に聞かせます。
しかし「これどうするの?」と聞かれても「どうもしません」「もうやめます」と話します。

大門亨は自殺じゃない、大門が消したと思うがきっかけを作ったのは自分だ、
もう降りる、相手が強すぎる、勝てないんで と自分の無力さを嘆く拓朗に
「もらうから、これ。君いらないんでしょ?」とスクープを持ち去ろうとします。
「無理ですよ、キャスター降ろされます!殺されますよ!」と必死に止める拓朗に恵那は叫びます。
「なんで殺されなきゃいけないのよ!」

「自分の仕事をちゃんとやりたいだけじゃん。
何の罪もない人がこれ以上犠牲になるのを見ていたくないだけじゃん。
1人の人間としてまともに生きたいだけじゃん」

冤罪事件を調べることの重大さと敵の大きさを知る村井は
恵那や拓朗のことを”おもちゃみたいな正義感”と小馬鹿にしながらも
その相手の闇の深さを充分知っていました。
知らなかったからこそ突き進めてこれた拓朗と
知りたいことを知った恵那のとるべき道は1つにならないのでしょうか。

岸本拓朗と言う希望

大門亨の死は自殺なんかじゃない。
恵那は岸本から資料を奪おうとして拓朗ともみあいになり大切なボイスレコーダーを床に落としてしまいます。
「ごめんなさい、どうしよう、大丈夫かな」
慌てて再生すると大門亨の穏やかな声が流れてきました。

「今、僕は少し神様に感謝しました。このことをそういう岸本さんと言う人に預けることができるのだと思うと、ふっと真っ暗闇の中に一筋細い光が差したような気持ちです」

長年仕えてきた男を信じることができずに生きる生活よりも
自分の目の前の人間を信じられるという喜びに身を託した大門亨。
拓朗が「自殺した友達のことを思いながらこの仕事をしている」と言った時に
大門亨は自分の奥底にある核のようなものをもう一度大事に生きたいと願い、拓朗を信じたいと願ったのでしょう。

「希望って誰かを信じられるってことなんだね」
「岸本君、ありがとう。今日までいつも目の前にいてくれて」
「君がいてくれたから私、今日までやってこれたんだね」
恵那の心からの言葉に拓朗の目から涙があふれます。

恵那と拓朗はお互いを信じあえる関係であったはずなのに、いつからか信じあえない関係になっていました。
言葉にして互いの目を見て素直に自分の想いを伝えた恵那と
黙って恵那を見つめ言葉の一つ一つをかみしめる拓朗。
恵那にとって拓朗が希望であったように拓朗にとっても恵那が希望でした。

恵那ができること

恵那は同期の滝川に大門亨の告発原稿を読んで聞かせます。
「待て、正気か?できるわけないだろウチで」と言う滝川に
「やるの、トップニュースで」と次々滝川に指示を告げます。

「ニュース8終わるぞ、番組吹っ飛ぶぞ。どんだけの人間に被害が及ぶと思ってんだよ」と必死に食い止める滝川に恵那は真顔で答えます。
「だって私たちは報道でしょ?真実を伝えるのが仕事でしょ?」
「そもそも大門亨が告発した時にちゃんと報道していれば副総理は失脚して大門亨は死なずに済んだ」
「私はもう信用を裏切りたくない。希望を奪うってことなんだよ」

滝川が映像を流さなくても原稿だけでも読むと言い残し部屋を出る恵那。
「珍しく緊張してます?呼吸が浅いですよ」とメイクさんに言われ、気持ちを鎮めるように深く息を整える恵那。
真っ白なスーツに込めた想いが観る人に届くといいですね。

誰もいないスタジオ

滝川は恵那の行動を止めてもらおうと斎藤に助けを求めました。
斎藤は10分でいいから話をさせてくれと大声で言いスタジオの中には恵那と斎藤の2人きりになりました。

斎藤は「大門副総理のスキャンダルのニュースを外してくれ」と頼みます。
ニュースを報じれば大門副総理は失脚し、この国の政界は大混乱が生じる。
国政も司法も混乱し国際的な信用も失い株も大暴落するだろう。
国家的規模の危機がどれだけの混乱が起きるか誰にも分からない。
君が取れる責任なんてせいぜい進退くらい、そんな人間が切っていいカードじゃないんだ と。

恵那は引き下がりません。
「影響は計り知れない、けれど真実なんです」
「知らせないというカードを切っている人は、その人はその責任を負えるつもりで切っているのでしょうか」

恵那は斎藤にもう一つのカードを切りました。
「本城彰に関する報道の邪魔をしないでください」
「警察が逮捕に動くのを止めないでください」

恵那の言葉を聞いて斎藤は電話をします。
おそらく大門副総理でしょう。
電話を切った斎藤は「今夜のトップニュースで出して構わない」と言います。
「ただし大門と本城の父親の関係についてはオフレコで」といい、続けて
「明日まで待つと君は事故か病気で出れなくなるよ」
と言い右手を差し出し握手を交わしスタジオを後にします。

斎藤が差し出した右手にはどういう意味があったのでしょう。
斎藤は自分も恵那と同じくこの国の人々のことを案じているのだと言いました。
だけど今の自分にはまだ力が足りない、だけどいつか必ず恵那が言ったことに応えてみせると断言しました。

恵那が斎藤を信じたい気持ちはどこかに残る愛情なのかと思っていました。
失ったものは美化され願望になっているのだと。
斎藤の右手を握った恵那には斎藤を信じ希望を見ることができたのでしょうか。

しかしながら私にはまだ斎藤の中に正義が見えないようにも思えます。
もしかしたら命を落とすかもしれない恵那に無事を祈る気持ちで交わした握手なのかもしれません。
そしてもう戻ることはない報道との決別の握手だったのかもしれないと感じました。

希望あるいは災い

”今日やらないと、やるなら今夜じゃないと”
恵那は慌てて電話し、たまたま大洋テレビのロビーにいた拓朗から本城彰のVTRを受け取ります。
エレベーターから駆け寄りVTRを受け取った恵那。
拓朗を抱きしめ「もう最高!キミ最高!!」と言い喜びのあまり右手で頬を掴み思いっきりビンタします。
「流すよ、これ。トップニュースで!」と言い
「電話しといて!みんなに!!」と叫び走ってスタジオに戻ります。

ロケバスに飛び乗るチェリーさん。
被害者遺族の井川純夏さん。
元夫に怯えながらも新証言をしてくれた由美子さん。
フライデーボンボンのスタッフたち。
姉を失った妹、拓朗を陥れた平川、拓朗の母陸子、木村弁護士、新聞記者の笹岡まゆみ、斎藤正一
そして岸本拓朗。
松本さん冤罪事件に関わった人たちが恵那の言葉に拓朗の映像に釘付けになります。

拓朗を信じて恵那を信じて自分の気持ちを正直に語った人たちの信用をもう一度得るために
恵那は丁寧に自分たちが知った真実を伝えました。

放送を終え走ってスタジオを後にした恵那は
拓朗に呼ばれても悲鳴を上げるほど怯えていました。
拓朗とともに牛丼屋に行き大盛りの牛丼を口いっぱいほおばり
何とかなりそうな気がしてきたと言って笑いあう2人の元に村井が来ます。
水しか飲めなかった恵那、母親が作ってくれた冷やし中華も半分しか食べられなかった拓朗が
大盛りを注文し美味しそうに食べる、その姿を見れただけでも2人の未来に希望を感じられます。

後にチェリーさんはカレーを作り松本さんと一緒にケーキを食べます、つまり冤罪を晴らすことができたのです。
初めて誕生日ケーキを食べさせてくれたおじさんと
もう一度今度は一緒にケーキを食べる日が来たことが
こらえきれずあふれ出すチェリーさんの涙に集約されていました。
2人にとって何気ない日常が希望なのでしょう。

恵那はニュース8のキャスターとして頑張っています。
きっと目の前のものを信じながら”真実をまっすぐに”のキャッチフレーズのような生き方を貫くのでしょう。

拓朗は村井の会社「村井映像企画」で働いています。
村井は相変わらずパワハラ上等むしろレベルアップしているくらいです。

これからどうするの?と聞かれ「正しいことがしたいです」と答えた拓朗に
「どっちが善玉でどっちが悪玉って本当はないらしいよ。この世に本当に正しいことなんてたぶんない本当に正しいことなんてたぶんないんだよ」
「だから正しいことをするのは諦めて代わりに夢をみることにしようよ」という恵那。

夢を見ることができるという希望
現実はいろいろある。
厳しい時もあるし失望したりもする。
だけどその先にもしかしたら光があるかもしれないと夢を描き
目の前にいる大切な人たちを信じ、自分の心にまっすぐ生きる。
今は叶わなくてもいつかどこかでなにか起きるかもしれない。
無意味に摂取と排泄を繰り返すのではなく、美味しいと思い食べたり感情に蓋をせず意見を言えたりする
そういう生き方に希望は光を差してくれるのだろうと感じました。

まとめ

エルピスの考察まとめ!真相・犯人を真面目に予想
についてまとめてみました。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa-hand-o-right” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#212121″ color=”#ffffff” margin=”0 0 0 0″]わかりやすくまとめると[/st-minihukidashi]
  • 『エルピスー希望、あるいは災いー』は実在の複数の事件から着想を得て制作されたドラマ。もしかしたら実際に同じことが起きていたかもしれないし、この先起きるかもしれない
  • 冤罪事件を通して人間の内面や正義、報道、政治の本質までもアプローチしていく『エルピス』は私たちに希望をもたらしてくれるのか
  • 浅川恵那の飲み込めないものとは、拓朗の記憶の中にある傷だらけの手のひらは、斎藤が目の当たりにする政治の世界とは 闇は闇として存在すべきものなのか
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