楽しく学べる英国史!
知識豊富な森護氏著「スコッチ・ウィスキー物語」を読み終えると、英国通に変身。
グラスを片手にうんちくを傾けるあなたが目に浮かぶ。
森護著「スコッチ・ウィスキー物語」1990年7月10日初版(大修館書店)
森護氏のプロフィール
森護氏(1923年-2000年)
奈良県生まれ。
1946年早稲田大学商学部卒。
1946年NHK入社。
政治部記者、神戸放送局放送部長、国際局報道主幹。
1980年NHK定年退職。
☆日本新聞学会会員、NHK文化センター講師。
☆大阪港の紋章の制作にあたって、指導、監修をした。
森護氏が紋章学の第一人者となったきっかけ
森護氏は戦後間もない1950年ごろにウィスキーVAT69を手にした。
そのころのウィスキーは貴重で、飲むより、棚に飾っておきたいぐらいだ。
後に、貰ったVAT69と微妙にデザインが違う。
国会図書館に行っても、納得できるような紋章の解説書がない。
そこで、英国の書店に問い合わせると、たまたま、そこの社長が紋章学の権威で、分厚い専門書を勧められる。そこから、彼ははまって行ったようです。(…“はじめに”を要約)
目次
目次だけを見ても、英国史がいかに興味深く、面白いかわかる
はじめに
序章 ラベルの紋章学入門
第1章 タータンとクラン
第2章 ラベルに登場する国王たち(エドワード1世
三人のスコットランド王)
第3章 女王そして国王の愛妾(エリザベス1世とクイーン・メアリー
ブリタニア像のモデルは国王の愛人
こよなく酒を愛したアン女王
ロイヤルをうたった様々のブランド)
第4章 貴族・ナイト・聖識者
第5章 国王の警護
第6章 モルトの世界
終章 スコッチ・ウィスキーを楽しむ
索引
本文中からの抜粋
(4頁)ヘルメットは、エリザベス一世の時代(1558年-1603年)から、位階によって区別するようになった。国王と皇太子は金色で正面向き、公爵から男爵までの貴族は銀色、格子が金色で右向き、ナイト級は鉄色で正面向き、エスクワイアー、ならびにジェントルマンの郷士級は同じく鉄色で右向きの各ヘルメットが描かれている。
(86頁)…白馬の図柄で親しまれている「ホワイト・ホース」は…現在の表ラベルからは消えてしまったが、旧いラベルに見るように、その下半分には四頭立ての駅馬車が描かれていて、白馬亭がかっての駅馬車の発着場であったことを教えてくれる、そして駅馬車の絵の下には運行規程の広告文が加えられている。「エディンバラより、ロンドンに赴かんとするもの、あるいは道中の他の地に行かんと欲するものは、エディンバラのホワイト・ホース・セラーに参集すべし。…」
(134頁)それはともかく、この会社を一躍有名にしたのは
「カティーサーク」の発売であり、そのユニークなラベルのデザインそして、ライト・タイプの味がアメリカで爆発的な人気を呼び、戦後日本に初めて輸入されたときも、それまでにないタイプのウィスキーとして好まれ、いま癖の強いモルトが好まれだしているのとは対照的といった風潮さえ生んだ。
ライト・タイプのウィスキーには「J & B」 もあり、別に目新しいことではなかったが、…
コメント
(アマゾンカスタマーレビュー)
読み物としても文献としてもとても良かったです。ありがとうございます。
ウィスキーのラベルを見るだけでこれだけのことがわかるなんて、正直言って驚きました。
今では懐かしいボトルのラベル。今これらのボトルを持っていれば、希少価値間違いなし。
価格分の価値は十分にあります。
まとめ
・森護さんの知識が豊富で、わかりやすく、楽しく、英国史が学べます。
・全175頁。カラー写真が多く、意外と早く読み終えることができる。
・紋章に詳しく、細部まで、説明が行き届いている。