宣言どおり12日間の宇宙旅行を果たした前澤友作氏が「次はマリアナ海溝潜りたい」「すでに申し込み済」と表明したため、地球最後のフロンティア”とも呼ばれる「深海」マリアナ海溝が脚光を浴びています。
マリアナ海溝とはどんなところで、その最深部に今まで行った人数はどれくらいになるのでしょう?また。そのロマンとはどんなところにあるのでしょう?
前澤友作氏の使用する潜水艇、パイロットを予想した!
[st-kaiwa1] 深海は、宇宙に行くより、難しいってほんまなん?[/st-kaiwa1]マリアナ海溝に今まで行った人数は?
マリアナ海溝に今まで行った人数は何人いるのでしょう?
マリアナ海溝はどこ
マリアナ海溝は、北西太平洋のマリアナ諸島(最南端にあるのが、グアム)の東、北緯11度21分、東経142度12分にある世界で最も深い海溝です。
3つのプール(西、中央、東)からなるチャレンジャー・ディープ(海底凹地、海淵)があります。
マリアナ海溝の深さ
日本の無人探査機「かいこう」(1995年5月)など最新の計測では水面下10,911mとされており、地球上で最も深い海底凹地(海淵)です。
これは海面を基準にエベレストをひっくり返しても山頂が底につかないほどの深さで、地球の中心からは6,366.4km地点にあることになります。
人類が最も深く行った深さは?
1960年1月23日のトリエステによる最初の潜水ではドン・ウォルシュとジャック・ピカールが、10,916mの当時人類の到達した最深記録を達成ししています。
2012年3月26日ジェームズ・キャメロンが、最初のソロダイビングで、10,898mに到達しています。
2019年4月28日に3人目のビクター・ベスコボが、ソロダイビングで、最深部10,928mに到達しています。
さらに、5日後の5月3日パトリック・ラヘイとジョナサン・ストルーウェが、最深部10,928mまで行きました。
それ以降の最深の記録はありませんので、現在人類が最も深く行った深さは10,928mということになります。
今まで行った人数
チャレンジャー・ディープを構成する3つのプール(西、中央、東)のいずれかで、少なくとも10,900mに到達した人数を数えました(Wikipediaおよびカラダン・オーシャニック社HP参照、2度目以降にパイロットとして行ったのは除く)。
まずマリアナ海溝最深部チャレンジャー海淵(ディープ)への潜航のトピックスを見ておきましょう。
1回目(バチスカーフ・トリエステ号)
1960年1月23日に、スイスの物理学者オーギュスト・ピカールによって設計され、1953年にイタリアで制作され、ナポリ近郊で地中海に進水したトリエステ (潜水艇)による潜水が初めてのマリアナ海溝最深部の潜水である。
オーギュストの息子ジャック・ピカールと海洋学者のドン・ウォルシュ海軍中尉を乗せてマリアナ海溝南部の最深域チャレンジャー海淵の海底に到達。地球上で最も深い海底に達した最初の潜水艇となりました(10,911m)。
2回目(ディープシーチャレンジャー艇)
2012年3月26日に、映画監督のジェームズ・キャメロンが一人乗りの潜水艇「ディープシーチャレンジャー」(全長7m、重量約12トン)に搭乗し、約2時間をかけて深さ10,898mへの潜行に成功しました。
有人でのチャレンジャー海淵への潜行は「トリエステ」以来52年ぶりで、単独での潜行は初でした。
3回目(Limiting Factor艇)
2019年4月28日に2人目のソロダイビングとなるビクター・ベスコボが、最深部10,928mに到達しています。
ビクター・ベスコボはその後、Limiting Factor艇のパイロットとして、10数回チャレンジャー・ディープに達しています。
6回目(Limiting Factor二人乗り深海潜水艇)」
2020年6月7日に、元宇宙飛行士のキャサリン・サリバン氏(68)が、最初の女性で最初の宇宙飛行士として、パイロットのビクター・ベスコボとともに、チャレンジャー・ディープに達しています。
12回目(奋斗者、Striver艇)
14人目、15人目、16人目(共同)として、中国の3人の科学者(男性2人、女性1人)が中国製と思われるFendouzhe(奋斗者、Striver)艇で、チャレンジャー・ディープに達しています。
深海カメラで撮影および中継されたビデオ映像をCGTN(CCTV系)で放映しました。
https://www.youtube.com/watch?v=ewLCeDhVtXk
これまで、アメリカ、スイス、カナダ、ドイツ、イギリス、中国、ニュージーランド、オーストラリア、スペイン、地元住民として、ミクロネシアのNicole Yamaseが、ここに到達していますが、日本人は皆無です。
日本のマリアナ海溝の調査としては、複数回の無人調査があります。
1925年4月15日、日本の測量船「満州号」が、10月23日に重りのついたケーブルをおろして測定する方法(鋼索測深)により水深9,814mを記録しました。
1984年に日本の調査船「拓洋」が最新式のナローマルチビーム測深機を用いて測定を行い、10,924m(厳密には10,920m±10m)という値を得ました。
1995年5月に日本の無人探査機「かいこう」が水深10,911mを記録しました。
それ以降は、記録に関する情報は見当たらず、宇宙空間だけでなく、海底でも中国に大きく先を越されています。
近年の科学技術への投資の減少が影響しているのでしょうか?
前澤友作氏が、マリアナ海溝に行けば、日本人初で、宇宙空間に行ったことのある人としては女性で最初の宇宙飛行士キャサリン・サリバンに次いで、2人目となります。
2020年11月10日に、自国潜水艇「ストライバー」で、3名の科学者を送り込んだ中国は、2021年12月6日までに「ストライバー」で合計21回の1万メートルの潜水を完了し、世界一と誇っています。
これにどの程度のマリアナ海溝チャレンジャー海淵が含まれるかはっきりしませんので、これらを除けば前澤友作氏は24人目以降となると思われます。
どこの会社のどの潜水艇で行くか未発表ですが、これまでのマリアナ海溝チャレンジャー海淵での潜水の実績からすると、海洋探査を手掛ける米民間企業「カラダン・オーシャニック」のLimiting Factor艇で、パイロット:ビクター・ベスコボで、挑戦するというシナリオが最もありそうです。
なお、4人目のソロダイバーでもあるビクター・ベスコボ氏は、米海軍の元指揮官で、世界の到達困難な場所を訪れることに長年情熱を燃やしてきました。
「カラダン・オーシャニック」の創業者であり、マリアナ海溝チャレンジャー海淵に潜った回数が最も多い人物です。
また、5つの海底を目指すプロジェクトを成功させ、7大陸最高峰と5大洋最深部の両方に到達した唯一の冒険家でもあります。
前澤友作氏が理想とする人物像にぴったりではないでしょうか?
マリアナ海溝のロマンとは
1、前人未到領域
2020年夏時点で、マリアナ海溝チャレンジャー海淵まで潜った人の数は、わずか13名に対し、高度100km以上の宇宙空間に行った人数は、565名(2020年8月現在)と圧倒的に少ないのです。
現時点では、20数名となっていますが、宇宙空間に行った人数はさらに増えその差が、さらに、開いていると思えます。
深海では、とてつもない圧力に耐える必要は勿論、水中では電波が通じないため、宇宙探査に比べて、通信がはるかに困難となっています。
1960年の初めてのマリアナ海溝チャレンジャー海淵で、ピカールとウォルシュは小型のウシノシタ(シタビラメ)やヒラメのような魚類を発見し、最も苛烈な水圧下でも脊椎動物が生息することを明らかにしたが、その後の探索では確認されず、別な種類の動物を誤認したのではないかと言われています。
ただ、この環境に完全に適応した生物が存在し、50MPa以下の圧力では増殖できない絶対好圧性細菌であるMoritella yayanosii などがあります。
こういったことがマリアナ海溝のロマンを掻き立てるとも言われます。
2、水圧
マリアナ海溝の最深部分における水圧は108.6MPa(1cm²に約1トン、1,086kgの重さがかかる)となっています。
3、メガロドンがいる?
メガロドンは2,300万年前から約150万年前で生息していた超巨大なサメで、全長が12mと世界最大の生物シロナガスクジラの約半分、歯の大きさは18cmと言われています。
2016年にマリアナ海溝で、海洋調査中に、偶然撮影されたサメが推定15mあったと言われ、これが、メガロドンの生存証拠としてかなり有名な動画となりました。
しかし、ここで、生存するためには、1インチ四方に約8トンの水圧に耐えられる体の構造になってなければならない、本来の主食であるクジラやサメ類のいない深海で、クラゲやカニなどを一日に1トンも食べ続けなければならないことから、フェイクではないかという説が有力です。
でも、結構ロマンがありますね。
[st-kaiwa2 r]動画の撮影者は海洋生物学者でなく俳優といううわさもあるようよ [/st-kaiwa2]まとめ
- マリアナ海溝最深部に今まで行った人数は23名と推定される
- マリアナ海溝最深部に今まで行った人は、宇宙に行った人数の、20分の1以下で、探索に様々な困難がつきまとうため、残された最後のフロンティアと言われる
- 超高圧の水中にも、細菌が生息しており、最古の超巨大さめメガロドンをここで、撮影したとの動画も出回っている
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