三村真喜子著「料理に恋してフランスへ」日本の家庭で作れる本格フランス料理を広めた著者の原点がここに!

雑記

フランス料理書といえば、フランスレストランのメニューを思い出しますが、
この本はフランス一般家庭が普通に食している料理を紹介しています。
一つ一つの料理の背景や特徴を詳しく丁寧に解説しています。
初版1991年10月10日人文書院

三村真喜子氏のプロフィール

・1938年生まれ。
・1959年学習院女子短期大学食物科卒。
・1976年~1978年パリ・ジャンドゥーアン国立ホテル学校へ留学。
・フランス文部省認定免許取得。
・学習院女子短期大学元非常勤講師。
・トゥロヮ・ヴィラージュ(フランス家庭料理教室)を高輪で主宰。
・フランス料理紹介はNHK,家庭画報、ミセス、レタスクラブ等々。

「この本の特徴と活用法

1. フランス料理には2つあって、“ヌーベルキュイジーヌ”進化したフランス料理を目指す流れと、昔からのフランス料理を大切にする文化とが共存しています。
丁度 日本が中国料理や西洋料理を日本風にアレンジして、どこでも安く、おいしく食べられるようにしていますが、同時に伝統の日本料理も大切に受け継がれているのが、似ています。
この本はフランスレストランのメニューではなく、フランス家庭料理に重点が置かれています。
※一つ一つの料理名をフランス語でYouTubeで検索すれば、現地のフランス人が動画で丁寧に解説してくれます。
2. これから留学を目指す学生にとって、どのような留学生活が身に付き、後々生かされるのか参考になると思います。…積極さと懐に飛び込む大切さ。失敗を恐れない。

この作品の目次

I, パリ、料理学校入学
宿とマダム・ヴィオサ
学校
II, フランス料理12カ月
1月 ガレットゥ・デ・ロワ
2月 クレープの日とサン・ヴァランタン
3月 復活祭
4月 ブルーマリンは春の色
5月 スェズとあんこうとミュゲの花
6月 さくらんぼあれこれ
7月 パリ祭のメニューて何?
8月 クリヴィヴェールの夏休み
9月 ブドウの収穫
10月 街角に立つ焼き栗屋さん
11月 ボジョレー・ヌーヴォウ
12月 ノエル
III, 地方料理あれこれ
IV ,生活習慣西東
チップあれこれ
フランスでの潤滑油
応急手当て西東
東は東、西は西
メゾン・ドゥ・ルトゥレットーあとがきにかえてー

著作者が留学したころの日本は。時代背景

彼女は1976年~1978年にフランス国立ホテル学校に留学する。
1945年に日本は太平洋戦争に敗れ、優秀な兵士が続々と帰還し、民間の会社に就職した。
敗戦直後の日本は荒廃し、すべてを失っていた。しかし、
大人たちは「将来ある子供たちに惨めな思いをさせまい」と、朝から夜遅くまで働いた。
それが将来バブルとつながっていく。
日本のバブルは1986年12月から1991年2月。
彼女がフランス留学中、日本を紹介されたテレビは「日本人は休暇も取らず、安い賃金で働きすぎる。」(27頁)「皆疲労困憊して電車内で眠っている。」(28頁)
彼女が留学したころはまさに日本人が復興に向けて頑張って、結果が出始めた時と重なる。

この本で取り上げられた料理、菓子、ワイン、ジュース

・Fondue Chinoiseフォンデュ・シノワズ
・Omelette Jurassienneジュラ風オムレツ
・Filets de Sole panés SauceTyloriienne舌鮃のパネ、チロリアンソース添え
・Pomme de Risde Veau Gourmande 仔牛喉頭肉の美食家風
・Escargots de Bourgogne Forestiére ブルゴーニュのエスカルゴ、森のきのこ風
・Sole des Sables dorés Louisiane舌鮃のルイジアナ風
・Selle d‘Agneau Farcie Viroflay 仔羊鞍下肉のヴィロフレイ・ファルシ
・Gâteau Forêt Noire森のケーキ
・Gâteau Le Noyerくるみケーキ
…等々。すべて取り上げるには多すぎるので、あとは本で確認してください。
※地方料理紹介コーナーではフランス田園の風を感じながら、読み進むことができます。

まとめ

・料理家三村真喜子氏の生い立ちから留学体験談、フランス家庭料理紹介が詳しく書かれています。
・フランス家庭料理に詳しく、ホテル学校出の視点でフランス料理が語られるのも貴重です。
・留学体験談はこれから留学を目指す学生の参考にもなるかと思います。

このシリーズで紹介した「零からの栄光」、数年前にネットで検索したら、“絶版”となっていて入手困難でした。
今は電子書籍に入っていて、便利になりました。

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