ストラディヴァリウス ある名器の一生

雑記

(番外編)昭和ではないですが、平成の名著を紹介します。
ヴァイオリンの名器“ストラディヴァリウス”を擬人化して、盗難や偽造、戦争に遭遇し波乱万丈の生涯を描く。
娯楽小説として、軽い気持ちで読むのに適しています。
トマス・マロッコ著、金澤 正剛、山田久美子(共訳)1992年音楽之友社

この本の特徴

ヴァイオリン名器の“ストラディヴァリウス”がしゃべる奇妙な作品です。
今までに見られない新しいスタイルの読み物として、引きつけられ一挙読みしてしまいます。

本書の目次

・おいたち
・知性派タリティーニとロマンティスト、ヴィオッティ
・トラファルガ海戦
・わたしの偽物
・バガニーニとの出会い
・英国での勝利
・間奏曲<ガイオーネ荘とベルリオーズ>
・シポーアとエルンスト
・カイロの誘拐
・ナポリのヴィヨーム
・新世界で
・地震
・屋根裏のストラディヴァリウス
・本物か偽物か
・偽物が売れた
・ソロモンの判決
・ヘロインを運ぶ
・室内楽の楽しみ
・素晴らしきフリッツ・クライスラー
・ローマの出来事
・赤いダイヤモンド
・難破
・オークション

翻訳者 金澤 正剛氏のプロフィール

金澤 正剛(かなざわまさたか)
1934年生まれ
・1957年国際基督教大学卒。
・1966年ハーバード大学大学院で博士課程を修了する。
・(1963年ハーバード大学音楽部助手、1964年ハーバード大学カークランド学寮音楽専攻指導教官を兼務する。~1966年)
・“モンテ・カシノ音楽手写本第871号”(イザベル・ポープ共著)ASCAP賞を受賞する。
・1982年国際基督教大学教授となる。宗教音楽センター所長を務める。
・1988年“古楽のすすめ”で日本ミュージック・ペン・クラブ大賞を受賞する。
・国際音楽学会日本代表理事、国際音楽文献委員会日本国内委員会委員長、日本オルガン研究会会長。

コメント

(アマゾン・コメント)
・ストラディバリウスの翻弄された一生を擬人化した物語です。一気に読んでしまいました。

(読書メーター・コメント)
・自分をストラディヴァリウスに見立てて、自分の誕生からヴィヴァルディやパガニーニ、イザイ、クライスラーの手に渡っていく運命を自伝的に語っていく面白い試み。ストラドにあらざねどヴァイオリンは演奏されてこそ運命をまっとうするのじゃないかと思う。

・“ロード・ネルソン”の一生 アントニオ・ストラディヴァリが作成したヴァイオリン“ラ・プルチェッラ(少女)”が幾多の主人の手に渡る間に経験した出来事をヴァイオリン目線で綴る小説。 ちなみに“ラ・プルチェッラ”は製作者がつけた愛称で、“ロード・ネルソン”はトラファルガル海戦で旗艦ヴィクトリー号に乗せられていたことからその戦いで戦死したネルソン提督の名にちなんだもの。 この本、訳者あとがきまで読んでがっかりしたのが史実とフィクションがごちゃ混ぜになっていること…

まとめ

・楽器を主人公にした画期的な小説。
・今までにない新しいスタイルの小説ですが、読者を飽きさせなく、一気読みしてしまいます。
・翻訳者の金澤正剛氏は音楽史研究の第一人者で多数の著作があります。

タイトルとURLをコピーしました