寄生虫とは正しい知識で付き合えば、怖くはないが、一方で犬、猫などのペットとの付き合い方を間違えると大変なことになる。
藤田紘一郎氏は寄生虫を細かく分類し、わかりやすく解説しています。是非に一読を勧める。
☆日本のバブル景気は1986年(昭和61年)~1991年(平成3年)と言われている。
昭和元禄とも称する。
文化は華開き、科学の世界でも、多くの研究者が優秀な書物を世に出した。
しかし、令和の時代に伝わっていない埋もれた作品がまだまだある。
それを発掘して披露するのが今回の「昭和の名著、平成の名著シリーズ」である。
藤田紘一郎氏は1996年から多くの著作を残しているが、この作品は1999年の作品である。
入門ビジュアルサイエンス「フシギな寄生虫」藤田紘一郎著1999年日本実業出版社
藤田紘一郎氏のプロフィール
1939年8月6日~2011年5月14日
満州国に生まれる。
父は陸軍軍医です。
東京大学医学部卒業。
・26歳の時に衛生動物学者の加納六郎氏に随伴して(フィラリア調査)、奄美群島の加計呂麻島に行ったのがきっかけで、寄生虫学に進む。
・NHK深夜便の一枠を担当したこともあり、「中国内地に釣り旅行した著名人が皮膚を動くこぶの病気にかかり、彼の診察で解決したエピソード」などリスナーにファンが増えた。
・自分の体内にサナダ虫を飼って、研究している。
・花粉症、アトピーは日本人が体内から回虫を排除したのが原因説を唱える。
・数多くの寄生虫を人体に害を及ぼす危険なものから、恐れるほどでもないもの迄を分類し、わかりやすく解説している。
・犬、猫などのペットとの付き合い方も、正しい知識での付き合い方を指導し、警告もしている。
・海外から帰国の手に負えなくなった患者を寄生虫学の立場で、何人か救っている。
興味深い箇所抜粋
(44ページ「可愛いペットが病原菌を持っている。」)
…ペットブーム::猿、小鳥、ヘビ、カメ、とかげなど飼育されているようですが、ほぼ例外なく寄生虫に感染しています。
…ペットの犬や猫に口移しでエサをやるのはもってのほかです。ダメです。
…アメリカの生後10か月の赤ちゃんが原因不明の病気で発病後1年後に死亡。脳からアライグマの寄生虫。
…サル、チンパンジーなど人間に近い動物が持っている病原菌は人間にも感染しやすいので、避けた方が賢明です。
(116ページ「恐怖のエキノコックスがやって来た」)
…人への感染ルートは山菜や飲料水に混じった卵。キタキツネや犬を触った時に手についた卵を口にした時。
…人に感染したエキノコックスの幼虫は主に肝臓に寄生し、無症状の状態が数年~15年間かけて、肝臓を破壊し、症状は末期の肝臓がんと似ている。
…これまでに400人以上の感染者が確認されたが半数は死亡している。
この本の目次
第1章 えっ、寄生虫が増えてるってホント?
*コンニチワ!!寄生虫一家をご紹介します
*寄生虫の感染経路はいろいろ
*お尻から長いものがニョロニョロ
*デートの定番「目黒寄生虫館」
*2人に1人が寄生虫に悩んでいるって本当?
*世界一清潔。でも世界一ひ弱なニッポン人
*ヒトの進化に寄生虫の影あり
*日本で一番多い寄生虫は?
*イスラム教徒が豚肉を食べない理由
第2章 かわいいペット&海外旅行にご用心!!
*グルメは寄生虫でいっぱい!!
*あっしは寄生虫もった渡り鳥
*いったい何の病気?カラ・アザール顛末記
*桃太郎御一行 サルとキジは入国STOP?
*可愛いペットが病原菌をもってるって本当?
*清潔好きなのにペットにキス?
*成人の5人に1人はトキソプラズマに感染!!
*ネコのたたりの正体はー実は「ネコひっかき病」!!
*公園の砂場はそんなに危ない?
第3章 とってもフシギな寄生虫の世界~これが僕らの生きる道~
*成り上がりの寄生虫と老舗の寄生虫
*寄生虫は宿主を選ぶデリケートな生き物
*寄生虫は体内では増えない!!
*寄生虫にもなわ張りがある
*人種で症状が異なる不思議
*寄生虫の体は生殖器だらけ!!
*寄生虫も浮気するの?
*寄生虫の多くはメスのほうが大きい!!
第4章 花粉症やアレルギーには寄生虫がイチバン!!
*ドイツの学者も認めたアレルギーと寄生虫のフシギな関係
*寄生虫で花粉症が治る!!
*どんな寄生虫が一番効くの?
*まずはアレルギーが起きる仕組みを知ろう
*寄生虫がアレルギーを抑える驚くべきメカニズム
*寄生虫と免疫系のフシギな関係
*フィラリアとマラリア、究極の選択!?
*寄生虫で作る夢のアレルギー治療薬
第5章 寄生虫の仲間 大集合!!~寄生虫ガイド①~
*ヒトにやさしいサナダ虫(日本海裂頭条虫)
*有機野菜ブームで復活!! 回虫
*いまだにしぶとく生き残るギョウ虫
*思わず土が食べたくなる!? イヌ・ネコの回虫症
*レントゲンに映った怪しい影「えっ肺ガンなの!?」
*水道水が好きなクリプトスポリジウム
*ノミとダニも立派な僕たちの友達
第6章 俺たちコワーイ寄生虫~寄生虫ガイド②~
*体中がブツブツ!!有鈎嚢虫症
*皮膚を這う幼虫、内臓を這う幼虫
*イカしめサバには要注意!!
*コーヒー豆みたい でも食べちゃダメな肺吸虫
*青函トンネルから本州へー恐怖のエキノコックス大王がやって来た!!
*日本では絶滅!! トップクラスの恐怖フィラリア
*国も亡ぼす人類最大の敵!? 熱帯熱マラリア
*恐怖の無差別攻撃!! 施毛虫
第7章 寄生虫と健康の深~い関係
*生き物と自然に生きよう
*イジメられた大腸菌の逆襲
*ダイエットするならサラダ虫…、いやサナダ虫
*ガンと寄生虫は関係ある!?
*白血病と寄生虫のただならぬ関係
*昨日の敵は今日の友-エイズと共生するアフリカの部族
*清潔過ぎれば女性でなくなる?
*自然に逆らったビジネスは成功しない
第8章 寄生虫おもしろ雑学
*僕の愛しい「キヨミちゃん」
*探検のお供はやっぱりサナダ虫
*寄生虫の天敵がなぜ最大の理解者になったの?
*寄生虫がアリの脳をコントロールする
*西郷隆盛が馬に乗らなかったワケ
*寄生虫で日本最古の水洗トイレを発見
*時差ぼけしないミクロフィラリア
この本へのコメント
(アマゾンコメント)
「寄生虫って面白い!」
読み終えるとそう思えました。
本自体も、イラストや図もそうですが、何より筆者さんの文の書き方が本当に面白い&お上手で、ワタクシのようなバカでもスイスイ読める内容になっています。
これは良い本ですね、☆5つです。
寄生虫に興味なんてない&寄生虫って怖いイメージがある…そんな人にもオススメです。
(読書メーター)
雑学って感じの本。割にちゃんとしてる結構面白い。
まとめ
・数多くの寄生虫の特徴をわかりやすく解説している。
知っていると、実生活にかなり役に立つ。
・特に海外旅行前に知っておくべきこと。また帰国後に、体調に異変が起きた場合、参考になる。
・藤田紘一郎氏は自らを実験台にして、サナダ虫を自分の体内に飼っている。
☆藤田紘一郎さんは健康食品の広告塔を任されて、一度、薬事法違反で起訴され、最終的に不起訴にはなったが、汚点を残した。
芸能人、スポーツマン、学者は人が良いから、すぐに乗せられたり、利用されたりする。
十分気を付けて欲しいものだ。